とある岐阜県の山沿いにある長いトンネルを通った日のことです。
その日は、夏休みと言うこともあり家族そろって海へ出かけていました。
帰り道が混雑するからと父は高速道路には入らず下道で帰ろうと言いました。
下道は高速よりも混雑していなかったため、明日の夜には家に着くと父はいい夜道を車で走り抜けました。
キラキラと夜景が輝く道を抜け山道へと入ります。
家族は、海で遊び疲れたのか子供はみんな眠ってしまい母と父のみ起きていたそうです。
静まり返った車内に響くラジオのBGMと子供の寝顔に笑みを浮かべ楽しそうに二人は話をしていました。
夜の11時を回った頃小雨が降り始めました。
真っ暗な夜道と小雨が降り注ぐ外に不気味さを感じながらも父は運転を続けました。
母は、「さっきから思っていたのだけれど、全然車が通らないわね」と肩を震わせ父に問いました。
父は、「気のせいだろう」と話を流そうとしました。
確かに、山道に入ってから一台も車が通っていないのです。
「みんな高速を使っているんだろう、混雑していないだけましじゃないか」と父は言い
母は、「それはそうね」とあまり気にもしなかったそうです。
時間がたち、長いトンネルに差し掛かりました。
トンネルの中はうす暗く途中途中に公衆電話がありました。
長いトンネルは、先が全然見えません。
そんな時、目に前に小さな人影が見えてきました。
こんな山道に人なんて歩くはずがなく二人は見間違いだと思い車を走らせました。
その人影らしきものに徐々に近づいていき、ついには真横に並びました。
父と母は気になり横を確認すると、そこには白い服をきた女性がぽつりと立ちこちらを見ていました。
両親は怖くなり猛スピードでトンネルを抜けました。
その日以来、父は時間がかかり混雑していたとしても高速道路を利用しています。