体を駆け抜けていった津波

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今から24年前、大阪市は住吉区、当時の彼女宅での出来事。

彼女曰く、この部屋は霊が出て、金縛りに良く遭うとの事。

そんな話を炬燵に寝そべりながら聞いていた。

ちなみに部屋は閉めきっており、炬燵より高い位置に1つだけ窓が有るが、そこも鍵を掛けて締め切っていた。

互いに炬燵に寝そべり手を繋ぎながら、俺が除霊すると彼女に告げた。

オカルトチックだが、目を瞑って心の中で地球上の山・森林・海・大地等、全ての自然に、この部屋から霊を出ていかせる様にお願いした。

その瞬間、風が吹き抜ける筈も無いこの部屋で、足先から頭にかけて津波の様な感触がゆっくりと体を駆け抜けていった。

もしかして自分はとんでもない事をしてしまったのでは無いか?

むしろ霊を刺激してしまったのでは無いか?

と内心混乱し、声も出ず、ただただ沈黙した。

彼女は大丈夫だろうか?

そう思って彼女の方を向いたら、彼女が驚くべき発言を放った。

「今、足先からゆっくり体の中を津波みたいなのが駆け抜けていかなかった?」

何と彼女の体にも同様の事が起きていた。

どういう事だったのか分かっていないのに俺は彼女に対して、自分にも同様の津波が駆け抜け、除霊は成功したと強がりながら答えた。

その日は彼女の家にそのまま泊まり、何も起きなければ良いなと思いながら眠りについた。

そして何も無いまま朝を迎えた俺は、後ろ髪を引かれる思いのまま彼女の家を後にした。

それから毎日、何事もなく彼女と過ごした。

一週間程して、ふと彼女が

「あの日から霊も出なくなったし、金縛りにも遭わなくなったよ。本当に除霊してくれたんだね。ありがとう。」
そう言ってくれて少し安心した。

それ以後、彼女と別れるまで、彼女から霊を見たり金縛りに遭ったという話は一度も出なかったので、恐らく除霊は出来たのだろう。

そう思う事にした。

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