これは私が5年ほど前に、実際に体験した話です。
当時付き合っていた男性と、よくラブホテルに行っていたのですが、
いつも行くホテルが満室だったので、その日は偶然見つけたホテルに泊まることにしました。
場所は、北24条駅の近くです。
その周辺には、よく飲みに出歩いていたのですが、
駅の近くにも関わらず私も彼氏も全く知りませんでした。
「こんなところにホテルがあったのか。」
と話をしながら駐車場に車を停めて、フロントへ向かいました。
行く前から、何か嫌な予感がしていましたが、とりあえず入室しました。
部屋は入った瞬間から、異様な空気に包まれており、
古びた昭和テイストのインテリアが、そのホテルの古さを物語っていました。
浴槽も、汚くてお風呂に入る気はしませんでした。
「とんでもないところに来てしまった」
2人とも内心そう思いながら、暫く無言でした。
ラブホテルというのは、色情因縁霊の巣窟でもあります。
油断すると、取り憑かれると思ったので、全く油断が出来ず私は一睡もできませんでした。
そしてようやく朝方になり、ホッとしていたその時です。
掛け布団から出ていた私の左足の甲を、誰かが「すーっ」と、人差し指で撫でるような感覚がありました。
最初は彼のイタズラかな?と思ったのですが、当の本人は横でスヤスヤ寝ています。
その部屋には、ベッドの天井に大きな鏡が付いていたので、
恐る恐る天井の鏡を見てみたのですが、もちろん私の足元には誰もいません。
逃げるようにホテルを退出し、 帰り際の車の中で暫く2人とも無言でしたが、
彼が沈黙を破り、突然こう言いました。
「俺ら、ずっと見られてたな。あの、入口のとこから。」
実は、私もずっと同じことを感じていたので、ゾッとしました。
部屋に滞在中、入り口のドアの左側から、物凄い視線をずっと感じていました。
単に見られている、というよりも、眺望の眼差しと憎しみが混じり合ったような、強い念を感じました。
おそらく、彼も同じことを思っているのだろうと感じていましたが、
部屋でその話をすると余計に怖くなるからと思い、私はずっと黙っていました。
過去にここで何があったのかは知りませんが、もう二度と行きたくない場所のうちの1つです。