釣りに行った時の不思議体験(静岡県浜名湖)

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私は魚釣りが大好きで夏になるとよく、一人で夜釣りに出掛けていました。

この日も、仕事が終わり、夕食を済ませてから港に向かいました。

今日は月が出ていないので闇夜です。

さっさと道具をボートに積んでいつものポイントまで船を走らせました。

いつもなら他にも釣り人が多く居るのですが今日は貸し切りです。

餌を付けて魚が釣れるのを待ちます。

なにも釣れない時間が永遠と過ぎていきます。

時計を見ればちょうど日付が変わったころ。

もう3時間も魚が釣れていないので帰るかどうか迷っていました。

すると、私の背後でピチャっと音がしたのです。

大きな魚に追いかけられた小魚は水面を走り回り、ジャンプして逃げようとします。

私は大きな魚が小魚の群れを追っていると思いました。

このチャンスを逃すまいと餌を付け替え先ほど音のした方に投げ込みます。

すると今度はまた私の背後でピチャっと音がしました。

ちょうど潮の流れが変わったころだったのでチャンス到来と思い、

もう1本の予備の竿餌を付けて音のした方に投げ込みます。

いつ魚が来ても良いように釣り竿の穂先をじっと見つめていると。

ピチャっと言う音が段々と増えてきます。

そして段々と私の船の方に近寄ってくるんです。

何かがおかしい。

これは魚の跳ねる音ではない。

そう気づいたのは音が一定の間隔で聞こえる事に気付いたからです。

その間隔は段々と短くなり船の方に近づいてきます。

そして音も大きくなりまるで水面を激しく叩くような音に変わって行きました。

私は怖くなりあわてて道具を片付けて船のエンジンをかけようとしたのですが、エンジンがかからないんです。

なんど試しても全くエンジンがかかりません。

そうしているうちにも水の音がどんどんと大きくなり、もう船のすぐ近くまで来ている事が嫌でもわかります。

何度もエンジンをかけなおしているとようやく掛かりました。

フルスロットルで走り出したかったのですが、この周辺はところどころ浅くなっているため思うようにスピードが出せません。

水を叩くような音は私をどんどん追いかけてきて距離を縮めてきます。

あと少しで深い航路に出る。

そうすればスピードがもっと上げれる。

私は心の中で念仏を唱えながら航路を目指しました。

よし、航路に出た。フルスロットルで港に向かいます。

船の速度が上がりついてこれなくなったのか水面を叩く音は段々と遠ざかっていきました。

目の前には港の明かりが見えてきました。

心の中で助かったとつぶやいた時です。

突然、船に物凄い衝撃が走ったのです。

何かにどんと押されたような感覚でした。

あわてて後方を確認したのですが何もありません。

その後は何も起こらず無事に港に帰ってきました。

ぼんやりとした港の明りに照らされた自分の船を見て背筋がぞっとしました。

まるで真っ赤なペンキで手形を付けたように私の真っ白な船に無数お手形が付いているんです。

船のヘリに手を掛けて船に上がろうとしたような手形もありました。

もう怖くなり急いで車に戻ろうとした時、港に車が入ってきました。

良く見ると友人の車です。

私は車が止まったのを確認すると大きな声で友人を呼びました。

助かった。そう思い、船をみるとまるで手形を水で洗い流すかのように赤い線となって手形が船から消えていきます。

一瞬のうちに無数あった真っ赤な手形は綺麗に消えていました。

ほどなくして友人が私のもとに来ました。

先ほど起きた事を話したのですが勿論信じてもらえません。

私は何が起こったのか理解できないまま帰宅しました。

あの現象が何だったのか今でも判りません。

あれ以来、怖くなったので船は処分しました。

一人で釣りに行くことも無くなりました。

あの無数の手は何だったのでしょうか?

浜名湖はまれに自殺者の遺体が打ち上げられたりします。

もしかしたらこの世に未練を残した人の魂が塊となり助けを求めて出てきたのかもしれませんね。

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