その時住んでいた場所の近くに、心霊スポットがあると聞いた彼氏が車を走らせていました。
なぜその場所が心霊スポットだと知っているかと言うと、
昔ファミレスのおもちゃコーナーのような場所に売っていた
怖い話のカセットテープに、そのおばけトンネルと呼ばれているトンネルの話が収録されていたそうです。
場所は観光地から程近くの、人通りも比較的多いトンネルです。
臨場感があると言うふざけた理由から、夜中に行きました。
すぐ近くに同じようなトンネルが2つ3つあるのですが、
そのトンネルの上には火葬場があるとのことでした。
0時半頃そのトンネルに着きました。
流石にあまりにも遅いと、お互い怖いと思ったからです。
何の変哲もない普通の生活道路であり、怖い雰囲気は漂ってきません。
トンネルの上に火葬場がある、と言うことも言われなければ恐らくわからないと思います。
カセットに入っていたそのトンネルの怖い話とは、
バックミラーを覗くと髪の長い女が車に張り付いていた、
トンネルを抜けると車のフロントガラスに白い手形がついていた、そんな内容だったそうです。
一度トンネルをくぐり、良いところでUターンをして再度トンネルを抜けて来た道を引き返しました。
彼氏が期待したような心霊現象は起きません。
髪の長い女が出現することもなければ、手形もつかないまま帰ることになりました。
帰り道は賑やかな通りを選びました。
なんとなく明るいCDを選んで流しました。
そんな中、彼氏が言いました。
『なにも起きなかったね』
『でもあんな時間におばあちゃん歩いてたら危ないね。徘徊かな』
そんなおばあちゃん、私には見えなかったけど。