私はまだ初心者ですが、最近サーフィンを始めました。
サーファーの遊び方として、
サーフィンする海辺を決めて深夜に車で目的地に向かって、早朝からサーフィンを楽しむスタイルでした。
その日は夏の三連休で、連休の中日に同じサーファー仲間と一緒に湘南近くの海辺でサーフィンを楽しむ予定でした。
連休の初日は午前中から深夜まで仮眠を取り、深夜にサーフィンに必要な道具を車に詰めて目的地まで車を走らせます。
カーナビを頼りに車を走らせていると、仲間達と合流する手前の海辺が朝焼けを浴びて綺麗に透き通っていました。
泳いでいる人もおらず、私は当たりの海辺を引いた!
と、仲間達と合流する前にそこでひと泳ぎしようと思い付きました。
今思えば、早朝とはいえ、夏で綺麗な海なのに釣り人もダイバーもいないことに不振を覚えていればあんな恐ろしい体験をせずに済んだのだと後悔しています。
海辺の近くに車を停めて、軽くストレッチをしてから私は海に入りました。
すると、波がいきなり荒くなり、海底からゴボゴボゴボゴボと嫌な音が聞こえて、何か手のような物に足を引っ張られました。
私はパニック状態に陥りながらも何とか助かりたい一心で引っ張られた何かに強く抵抗し、
浜辺まで戻ると背後から何かで焼け爛れたような女性の声が「うああああああ」と叫ぶのを耳にしました。
それからは濡れた水着もサーフボードも気にせず車に乗り、
仲間がいるであろう別の海辺まで車を走らせました。
幸いな事に事故にも合わず仲間と合流出来たものの、
私はパニックから呼吸が乱れるのも構わず、仲間にさっきあったことを話しました。
すると、4人いる内の1人の仲間が深刻な顔をしながら
「お前、ここに来る前にあったやたら綺麗な海に入らなかったか?あと、変な声聞いたりとか」と尋ねてきました。
私が必死に首を縦に振ると「あそこはな、昔、男に振られた女がガソリンを頭から被って焼身自殺を図ったんだけど、すぐには死ねなくて海に飛び込んだんだよ。
それからあそこでは変な声や手足を引っ張られることが多くなったんだ」
私は背筋に嫌な汗が伝うのを感じました。
まだ初心者だったから知らなかったのですが、熟練の釣り人やサーファーの間ではこの怪奇現象を知らない人はいないと聞かされ、
「もう二度と行くなよ」とも念を押されました。
そんなことを言われずとも、もうあの海では泳がないと決意しました。