長野県の観光ホテルでのお話です。

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今から20年も前の話になりますが、

長野県の白馬方面にある、

○○観光ホテルというところでアルバイトをしていた頃の体験です。

白馬というと冬がトップシーズンという感じがするのでしょうが、

私は夏に働いていました。

ホテルの中の喫茶店でウエイトレスとして働いていたのですが、

夜の9時に勤務が終わり、

その後そのホテルで働いている他の従業員と

その喫茶店で飲み会をしていました。

その喫茶店はホテルの1階にあり、

そこはちょっとしたホールになっており、

小さな噴水やかわいい赤い電話ボックスが設置されていました。

ガラス張りの喫茶店のドアから、そのホールがみえるのですが、

20メートルほど先の電話ボックスの前に

男の人がこちらに体を向けて立っていました。

飲み会が始まったすぐあとで気づいたのですが、

最初は気にも留めませんでしたが2、30分して何となく視線を向けると、

まだ同じところに同じように立っているのです。

あら?と思い隣の席の人に「あの人知り合いですか?」と聞いてみましたが

「ん?どの人?それよりさぁ」と取りあってくれませんでした。

そうこうしているうちに、2杯3杯とお酒もすすみ 

気が付くとその男の人はいなくなっていました。

この男の人のことはすっかり忘れていたのですが、

後日同じ場所で同じメンバーと飲んでいるときに思い出したのですが、

普通、ホテルのホールにいる人なら、お客様と思うはずなのですが、

何故、そうは思わず何故バイト仲間の知り合いかと思ったのか。

それは、男の容姿でした。

その男の人は黒っぽいスラックスに白いシャツ

そして蝶ネクタイをつけていたからなのです。

まるでバーテンダーのような恰好でした。

そのことをみんなの前で説明すると、

中に古株のアルバイト生がいて教えてくれました。

今は売店になっている場所には昔、

ショットバーのような小さなお店があり、

その1階のホールの奥に従業員の仮眠室があったこと。

そして、そのショットバーの店長だった人が、

仮眠室で休んでいるとき心臓発作を起こし亡くなっていたこと。

その店長の制服が黒のスラックスに黒のベスト、

白いシャツに蝶ネクタイだったそうです。

そして亡くなったときは黒のベストは

しわになるのを恐れたのかハンガーにかかっていたそうです。

仕事おわりの和やかな雰囲気を懐かしい思いで、

私たちを眺めていたのでしょうか・・・。

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