3年前の事です。
学生時代の友達T君が結婚することになりました。
彼は学校卒業後ずっと関西方面にいました。
ご縁があって京都の女性と結婚することになりました。
結婚し婿に入り京都で暮らすということでした。
奥さんはお菓子だったかのお店の娘さんでした。
招待状が届き学生時代の友達と共に行きました。
ホテルも用意されましたが式場はお父さんやお母さんの縁で貴船神社で結婚式との事でした。
私と他の友達合わせて五名でとりあえず行きは京都バスに乗り会場に行きました。
京都駅から約1時間くらいの本当に山でした。
しかし鞍馬山などの自然の景色が雄大で落ち着いた神秘的な雰囲気でとてもいい場所でした。
私はその時腰が痛かったのですがここに来たら全然痛みが亡くなったのでいいパワースポットなのかなと思いました。
結婚式も天気に恵まれていい式でした。
式が終わり奥さんの親戚の方が、
「ここは力のあるパワースポットですわ。恋愛成就にもいいし、願い事や恨み言も叶えられるところなんやわ。」
恋愛成就などはわかりましたが恨み言ってって心の中で思いましたが、その意味合いは後々知ることとなりました…
式が終わり市内に戻り飲み会で新郎新婦を祝い、京の町を楽しみました。
翌朝、京都駅近くのホテルで朝食を取っていた際、友達のS君が「しまった。貴船神社に鍵忘れてきてしまった。」と。
S君はカラビナに家の鍵や会社の鍵など数個ありないと困ると弱ってました。
私達は観光も兼ねて再び貴船神社に行こうということになりました。
奥さんの親族Dさんが泊まったホテルマンの方で、
「うちは今日の仕事終いなのでよかったら車で送り迎えするよ。」と言われたのでお言葉に甘えて朝食を終えてDさんの車に全員乗りこみました。
京都の町や景色、自然の豊かさに感激感動しながらあっという間に貴船神社に着きました。
朝なので人も少なく落し物の社に行くとS君の鍵が無事にありました。
ホッとしました。友達のK君が、「せっかくなんだしちょっと貴船神社の奥まで見に行こう。」と言い出しました。
Dさんは「いってきたらいいよ。時間あるから車で寝てるんで。」と笑顔で送ってくれました。
ただ、そのあとDさんは言いました。
「ただ、本宮から奥に行くんだったら空気がガラッと変わるから注意してな。もし変な感じや変なもの見たらもどってくるんだよ。」と。
私は何故かその言葉に引っかかりDさんに理由を聞こうとしました。
しかし、友達達が先に行ってしまったので私もついて行ってしまいました。
先に進み本宮からちょっと山奥に向かいました。
それまで夏なのに心地よい涼しさでしたが、私は何故か鳥肌が立ち寒気を覚えました。
自然の草木に溢れてるけどなんか違うし何か変だと思いました。
時折カーンという何かを叩く音が聞こえてきました。
やがて先には殿らしきものが見えてきました。
突然私の前にいた友達のR君が私の隣に来て小声で「横見てくれ。」と顔を青ざめ口抑えてました。
私は横を見るとそこには「怨」と白い紙が貼られた藁人形が置いてありました。
2個くらい。それが比較的新しい物なのかそんなに汚くもなく、一帯は五寸釘が刺さってました。
私は背筋に寒気を覚えました。
それとカーンという音が次第に大きく聞こえてきたのです…殿に近づきました。
「も、もういいんじゃね。帰らない?」私はもうこの場を離れたかったので先に進んでいたS君たちに言いました。
その時森の中から後ろ姿でしたが白い着物を着た黒髪の20代くらいの女性が入っていくのが見えました。
右手に金づちと左手に藁人形が。
木を探しているのかきょろきょろしてました。
流石の友達達もヤバいと感じたらしく。
小声で「逃げろ!ダッシュ!!」私達は振り返らずに直ぐに走ってその場を去り降りて行きました。
登ってくる参拝客か観光客の方にぶつかりそうになりながらも急いでDさんの車に戻りました。
みんな息を切らして車の中に入りました。
Dさんは何かを感じたらしく無言で頷いて車を出してくれました。
しばらく走って、「大体わかるけど何か見たんでしょ?」Dさんは口を開いて聞いてきました。
私達は遭遇したことを話しました。
「朝やってるやつも珍しいわ。よほど怨みがあるんだね。」とDさんは教えてくれました。
貴船神社はパワースポットですが、怨みや丑三つ時に藁人形で呪いがかかる、力があるということでも有名みたいでした。
本殿の奥は恨み言があるものが森に入って藁人形を今でもよく打っていると聞きました。
「京都は戦乱の多かった地だし、鴨川や三条も処刑場があったりしたんや。
貴船もいくつもの霊がいるんだろうね。無念の思いを背負った…」
Dさんの話が怖すぎて私はホテルに帰るまで何も言えませんでした。
それまで明るかった友達達も暗い表情でした。
現代でまさか昔の恨み言。
藁人形を打つ人もいるなんて。
リアルな藁人形も見たの初めてで恐怖でした。
そんな三年前の怖い話でした。
本当の話です。今でも思い出すと寒気がするし思い出したくありません。