あれからもう10年たちます…
私が、20歳になったときの話です。
当時、私は派遣社員として、工場勤務をしていました。
家からも近いという理由で働いていました。
その工場には、正門と裏門があります。
正門は荷物発着が行える広い造り、
裏門は人が一人通れるくらいの門です。
しかし裏門からでた途端にお墓です。
私は常日頃、裏門を使っていました。
あの日は今でも忘れない6月22日、夕日が綺麗な日でした。
珍しく仕事が早く終わり、あがっていいとのことだったので帰り支度をすませ裏門から帰路につく。
お墓を抜け道路に出た途端に夕日のオレンジ色が急に薄紫色に変わりました。
気にせずに帰り道の坂をゆっくりと歩いていると、後ろから人が走ってくる足跡が聞こえる。
私はゆっくりなので、すぐに追い抜いていくだろうと思っていたけれども、
一向に追い抜かれない、気味が悪くなり振り向いた途端、「びぃー!」けたたましいクラクションを鳴らしトラックが私を追い抜く。
危ないなぁと思いながらも人がいないのを確認して視線を戻すと少し先に小学生ほどの黒のサスペンダースカートの女の子がいました(ちびまる子ちゃんのような服装)
あーさっきの走ってたのはあの子か…と思った。
その子は自分の足元を見て何かを探している様子でした。
私は子どもがあまり好きではないので普段なら無視するのですが、その日だけ何故か「どうしたの?」と声をかけてしまった。
その子がこっちに視線を向けようと顔を動かした瞬間、私は動けなくなりそうな恐怖を感じました。
その子の顔色は真っ青で、直感的ですが、この子はこの世に居ないと思いました。
その子と視線を合わせることなく、固まりそうな体を無理やり動かしてその場から離れました。
父がそういう心霊体験があった為、そういった場合は足を止めようとしてくるので、
何があっても決して立ち止まったり、振り向いたりしないようにと教えがありました。
歩いてその場から100メートルほど離れる、直進するか右に曲がる道だった為、車用のカーブミラーがありました。
何故かわかりませんが、足を止めるミラーで後方を確認してしまいました…が後方には登ってきた道が続くばかりでした。
人間、安心したときには教えを忘れてしまうものです、その場で振り向いてしまいました。
私の右斜めに彼女がいて、私の肩かけカバンのバンドを握っていました真っ青な顔をして笑顔で、
その場で金縛りになり、動けなくなり体感時間で15分は動けませんでした(実際には2.3分)。
道路の真ん中で動けなかったので車にクラクションを鳴らされ動けました。
気づけば彼女は、もういませんでした…。
20歳にもなり泣きながら家に帰る走って、家には母がおり、
いつもノックをすると鍵をあけてくれるのですが、恐怖のあまりドアを凄い勢いで叩いていました。
「うるさい!」と叫び鍵を開けてくれる母、泣いている私を見て一言
「うんうん、凄く痛かったね、もう大丈夫やからね」
そこで私は気を失いました。
気がつき母にことのいきさつを説明、最後になんであんなことを言ったのか尋ねると、
「そんなことは言ってない、鍵開けたら倒れた」とのことでした。
しばらく職場の行き帰り母に送ってもらうという日が続きました。
その際、「あんたと散歩するのやんて何年ぶりや、少し嬉しいかも」と和ませてくれました。
その道の途中で、私と母は足が止まりました。
電柱にしおれた花束が備えてありました。
近所の方によれば2年前に小学生の女の子が車にひかれなくって、私が彼女に会った日の昼、その子の両親が花束を備えたとのことでした。