支笏湖は北海道でも有名な心霊スポットとして知られています。
何でもその漢字は死骨湖とかつては書かれていたらしく、
実際に入水自殺をしても湖底にある流木等に死体が引っかかり
中々上がってこない等という話もありますが、
一方では観光スポットであったり良い釣り場として知られても居ます。
かつて友人と支笏湖へチップ釣りへ行ったことがありました。
だんだんと日が暮れてきて夕日が沈み、
辺りが暗くなり焚火の火を見ながら暗闇の中で釣りをしていると、バシャンバシャンと水面を跳ねる何かの音が聞こえました。
「おい、魚か?」という友人の声に
「もしかしたら大物かもしれないな・・・」そう答えた私はその魚を狙って、さらに沖へと針を投げました。
ぽちゃんというルアーが着水する音と共に、リールで針を手繰り寄せると急に猛烈な引きに襲われました。
「おい、何だ?何か凄いのが、かかった!」
「大物じゃないのか!ゆっくり引き上げろよ!」
友人の声にラインを切られないように静かに岸の方へと引き寄せるのですが・・・
とはいってもその引く力は魚の比ではないのです。
今までやってきた釣りの経験の中でも、こんなにすごい引きをする魚を見た事等ありませんでした。
そして、その力はまるで向こう側からグイグイと何かが凄い力で引っ張ってくるかのようで、私を湖に引きずり込むかのような力でした。
「ダメだ・・・ライン切れ!危ないって・・・」
友人がライトで水面を照らしてみると・・・
普通であれば魚は沖へ沖へと逃げるはずです。
しかしそれは光を当てた瞬間にまるでその光に興味でも持ったかのように、確実に私達の岸の方へめがけてゆっくりゆっくりと進んでくるのでした。
気味が悪くなった私は、ナイフを取り出し黄色いラインを思いっきり切断しました。
バチンという凄い音と共にラインが断裂し、その後は静かな湖畔が広がっていました。
一体あれは何だったのか?と気になった私達は気持ち悪くなり、そそくさと道具を片付けてその場を後にしました。
それから1週間後友人から連絡があり、こんな話をしてくれました。
友人「おい、この前二人で釣りしただろ?」
私「ああ」
友人「あのな・・・あれから4日後に水死体があがったんだってよ・・・」
私「へぇ・・・」
友人「でな、消防団のダチの話によると・・・其の死体には黄色いテグスとルアーが食い込んでいたんだってさ・・・。」
そのルアーとラインは友人の話によると、私があの時使っていた釣り道具だったそうです・・・。
あの時もしも、テグスを切らずにあれを岸まで寄せていたら・・・。