老舗旅館と霊感の強い友人
私が実際に体験した出来事です。
ある年の秋、友人と二人で伊豆の修善寺に温泉旅行にでかけました。
宿に到着すると、さすがに老舗の温泉旅館だけあって建物に趣があり、とてもよい雰囲でした。
ところが、部屋に案内されて足を踏み入れたとたん、友人の表情が一変しました。
顔を強ばらせて部屋の片隅を凝視しているのです。
この友人はとても霊感の強い人でした。
この部屋に泊まりたくない
そして、いきなり仲居さんに言うのです。
「突然ですみませんが、部屋を変更してもらえませんか？」。
「お部屋でございますか。申し訳ございません。あいにく本日はいっぱいで」。
仲居さんが帰ると、友人は「いる」と一言。
この部屋にいてはいけないものがそこにいて、こちらを見ていると言うのです。
幽霊や心霊現象を一切信じない私は、のん気に温泉や景色を楽しみ、夕食に舌鼓をうちました。
見えないものはこわくありません。
初めての金縛り、そして恐怖体験
その夜のこと。
私はなんだか息苦しくて夜中に目を覚ましました。
すると全身が鉛のように重く、動かせないのです。
動かせるのは首だけ。
暗闇に目が慣れたころ、そこに見えたのは天井からニョッキリと突き出た人の手。
別のほうに目をやると、閉めたはずのふすまがなぜか少しだけ開いていて、
その中からこちらを見ているいくつもの目。
そこで強烈な眠気におそわれ、再び眠りこんでしまいました。
温泉旅行がトラウマに
翌朝、ゆうべの出来事を友人に話すと、
他の宿泊客もこの部屋で同じような体験をしているはずとのこと。
おかげでそれからしばらくの間、旅館やホテルに泊まることができなくなりました。
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