私は幼い頃から不思議な体験をすることが多い子供でした。
物心ついた頃から、人には見えないものが見えたり、聞こえたり、周りの人にはない、何かを感じていました。
しばらくは親も半信半疑ながら、幾度となく体験する私の話を聞いて、
何か不思議なものを感じていることを分かってくれるようになりました。
そんな私が今回体験した話は、私が看護師の専門学校に在学していた時の話です。
私の通っていた専門学校は県内でも珍しく、救護活動に参加できる学校でした。
トライアスロン大会の救護活動へ参加する為に、県内の会場へ行きました。
その日、私の救護所では、誰も怪我人は出なかったのですが、
別の救護所では、救急車で運ばれた人がいたという報告がありました。
毎年トライアスロンの競技に、救護で来ている方によると、救急車で運ばれた事例は初めてだと言っていました。
大会自体は無事に終わりましたが、何となく後味の悪い大会となってしまいました。
そして、私の恐怖体験は、この後帰りのバスの中で起こりました。
救護テントの中とはいえ、さすがにみんな1日中外にいたので、かなり疲れていました。
それぞれ静かにバスに乗り込み、あまり会話する人も少なかったように思います。
ふと前を見ると、トンネルが見えました。
そのトンネルに入る瞬間、何か言いようのない不安な気持ちになりました。
トンネルを通っていると、体じゅうがズシリと重く、何も見えないけれど、
体を沢山の腕で押さえつけられているような感じでした。
今まで色々と体験していましたが、ここまで苦しくて怖くなったのは初めてでした。
バスの中で他の人もいたので、どうすることもできず、トンネルが終わるのを待つだけでした。
トンネルを抜けてすぐに、体がスッと楽になりました。
いつものことなので、他の人には分からないだろうと思っていると、
学校の先生が「トンネルの中がすごいことになってたね〜。」と言っているのが聞こえました。
その先生は生徒の中で幽霊が見えると有名な人でした。
「沢山の霊がいて、苦しいくらいだったわ。体が重くて辛かった。」と、私と同じ感覚を体験していました。