今から約30年前、父と埼玉県草加市の賃貸アパートに二人で住んでいました。
他の家族は東北の田舎に母と妹、弟、祖父母が暮らしていました。
怖い話と言うのは、祖母が亡くなってからの話です。
お通夜に親族全員が家の中にいました。
家の前には多くの花輪が倒れないようにしっかし立ててあったのですが、
風も吹いていないのに外で大きな音がしたのです。
外に出て見ると花輪が倒れていました。
おじさん達は「おばあちゃんが来たんだ」と笑いながら言っていました。
祖母ならあり得ると私たち(母、妹、弟)は本当に思いました。
それから翌日に告別式が行われ、私はその日のうちに埼玉に戻りました。
その晩の事です。
夜、寝ていると足下から上半身にかけて誰かが踏みつけて上がってくるような感じで近づいてきたのです。
体は全然動けません。声も出ません。
金縛りだと思いました。
目は開けちゃいけないと誰かから聞いたことがあったので、ずっと目を閉じていました、
というか目を開ける勇気はありませんでした。
どうしよう、どうしよう、祖母が来たんだ!
なぜだかそう思いました。
頭の中はパニックです。
お経だ!でもなんだっけ?なむあみだー?えーはんにゃーはーらーみーたーこーだっけか?
とにかく唱えようと思っている時に耳元で「ホー!ホー!」と声がしました。
その声は祖母です。
離れた場所に人が要ると祖母はよくそう呼んでいたのです。
私を呼んでいるんだと思いました。
絶対に返事をしたらいけないと思いながら、でたらめなお経を唱えていました。
そうしたら枕のしたから今度は、別の女性の声が聞こえてきました。
その声は、祖母が亡くなる数週間前に亡くなったおばさんの声に似ていました。
何を言っていたかは記憶がないのですが、その声がしたとたんに金縛りがとけて、
おばさんが祖母を連れ戻しに来たのだと思いました。
祖母は最後に私にお別れをしに来てくれたんだと今ではそう思います。
あちらの世界でもいつまでもおばさんと仲良くいてほしいと思いました。