私が高校生の時に担任の先生から聞いた話です。
私の高校の担任だった先生は大学を卒業したばかりの新任教師でした。
東京の大学を卒業し、故郷の香川県に帰ってきました。
実家は香川県ですが、勤務する高校が三豊市という田舎の学校だったので隣町に家を借りて一人暮らしをしていました。
隣町から勤務先の高校へは山を一つ越えるので、毎日あるトンネルを通る必要がありました。
毎日朝夕同じ時間帯に通勤していると、いつもトンネルの真ん中付近で
白髪のおばあさんとすれ違うことに気が付きました。
先生はその時は同じ時間帯を散歩している近所の人だろう位に思っていたそうです。
それから二か月が過ぎ、先生が部活動の指導で夜遅くにそのトンネルを通りました。
するといつものあの場所にあのおばあさんがいるのです。
先生は少し不思議に思いましたがそのまま通り過ぎて行きました。
それから休日出勤の時も、時間帯がずれていてもいつもトンネルの真ん中でおばあさんを見かけるのです。
そこで先生はあることに気が付きました。
おばあさんはいつも同じ服を着て、同じ方向を向いているのです。
まさかずっとあの場所にいるわけでもないだろうし、と考えると先生は背筋がぞっとしました。
それから高校の授業で郷土資料を作成するために、そのトンネルの歴史について調べていた中で、ある事実を発見しました。
そこは昔から四国八十八か所を巡るお遍路さんの通る遍路道で、
トンネルができていなかった時代、その峠越えで沢山のお遍路さんが亡くなったそうです。
居なくなったお遍路さんを探しに、その家族も徒歩で峠に入り犠牲になった場所でした。
今もあのおばあさんは亡くなった家族を今も探しているのかもしれないと思い、
そこから遠回りをしてでもそのトンネルは使わないようにしているそうです。