赤十字病院まで乗せてください。(北海道の日高地方)

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北海道

その日は仕事の仕入れで遠方まで行かなければならず深夜に車を走らせました。

ルートは北海道の日高地方を海沿いの国道を通り道東、

オホーツク海の方まで行く予定で車を走らせました。

深夜というのもあり車はほぼゼロ。

快適といえば快適に車を走らせていました。

時々コンビニによって飲み物とお菓子やパンを買って、

ラジオを聞きながらひたすら海沿いの道を飛ばしてました。

多分3時過ぎる4時にはなってなかったと思います。

途中から霧というか霧雨みたいな天気になってそしてしっかりめの小雨に変わってちょっとしてからでした。

場所はうらかわ町っていう町で町の入口かしの手前だったと思います。

なんだあれ。って前方をしっかり見たら女性が一人立ってるんです。

何か大事そうに両手で持って。

一瞬でしたが不思議でした。

辺りは家なんて一件も無かったし、何処から歩いてきたの?って凄く不思議でした。

無視するかどうするか悩む前に車は止まりました。

勝手に止まったんです。

はあ?って何が起こってるのか理解出来なかったです。

でも女性の前で車を止めてそのままというのもおかしなはなしなので窓を開けて

「何かあったですか?」って聞いたら

「赤十字病院まで乗せてください」って言われました。

「こっちの人間じゃないから道わからないんですけど」

って自分が言うと国道沿いだし案内するからって言われまして、

自分も通り道だったのでその女性を乗せました。

温泉によく行ってたのでタオルは沢山あったので雨に濡れていたその女性にタオルを渡し、そして道を聞いて病院まで行きました。

途中、一言も会話せず。

病院はすぐでした。

結構近いと感じ病院の前に車を止めて、あとはお決まりパターンです。

後部座席は誰も居なくてちょっとだけシートが濡れてました。

そして濡れたタオルが丁寧に畳まれて置いてありました。

そして、そんな時間に病院の前に車を止めたんです。

気づいた年輩の看護師さんが出てきて、事のいきさつを言うと、

これを知ってる人はもうほとんどいないんだよねえと全て教えてくれました。

もうあの道を通ることはないと思います。

でも似たような気候と小雨の夜はたまに思い出します。

まだあの女性は赤ちゃんを抱いて病院に行こうと必死であの道を歩いてるんだろうかって。

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