事の発端
私が高校三年生の頃、スマートフォンが発売されたがまだあまり普及していなくて、
私自身もガラパゴス携帯だったのですが、そんな私の携帯に
非通知の番号から不在着信と留守番電話が入っていました。
着信の入っていた日にちをしっかり覚えていて6月30日です。
非通知なので掛け直すことができず、とりあえず留守電を聞いてみたのですが
何も喋っていなくて、その代わりに砂利道を歩いているかのような音が1分半ほど流れているだけでした。
誰かの携帯から私の番号にたまたま掛かって、電話が掛かっていることに気付かず
どこかを歩いていたのだろうと思ってその時は深く気にしませんでした。
繰り返される謎の着信
7月に入り下旬には夏休みになりました。
私は高校最後の夏休みを友人と謳歌している中、7月31日にある一人の友人の家に遊びに行きました。
ゲーム等して遊んだ後に少し話していると、私の携帯に先月変な着信が入ったことを
思い出して少し盛り上がるかなと思いその友人に詳細を話しました。
留守電が残っていたのでそれを一緒に聞いたのですが、何故かその留守電は
先月聞いた時より音がひどくなっていて、擦り切れ寸前のカセットテープのように
所々きゅるきゅるといった音が聞こえ、より一層不気味だったのを覚えています。
そんな話をした直後、私の携帯に非通知から着信が掛かってきました。
まさかと思い、電話に出てみたのですが何度話し掛けても応答がありません。
代わりに例の砂利道を歩いているかのような音だけが聞こえてきます。
すぐに友人にも携帯を渡して確認してもらったのですが、
友人も同様に砂利道を歩いているみたいだと言っていました。
8月に入り、色んな友人と夏休みを満喫している中で8月31日になりました。
私は6、7月のことを思い出してもしかして今日も掛かってくるんじゃないかと
思ってその日の予定を空けていました。
夕方になり、もう掛かってこないかなと思っていた矢先に携帯に着信がありました。
今度はなんと電話番号が表示されています。
友人の中で誰か番号変えたのかと思って電話に出てみると、
その着信は例の如く砂利道の音声でした。
霊感のあるという友人に相談
番号が表示された着信の後すぐに同じ中学校だった友人に連絡して、
暇なのを確認して会いに行きました。
6月からこれまでのこと、さっきあった着信のことを話した上で
これはなんなのか聞いたところ、友人はまず「お前の家に砂利ある?」と聞かれました。
私はマンションに住んでいて、一階のエントランスに
大体八畳程のスペースに砂利が敷かれていることを伝えました。
友人曰く、そこでずっと誰かが歩いていると言うのです。
まさか新築で入居して長年住んでいたマンションであり、
特に事故も事件もなかったところでそんなことがあるのかと不思議に思いましたが、
友人は次のように続けました。
「幽霊だろうけど、幽霊なんて生きてるか死んでるかだけで人に変わりないから
そんなに怖がることないよ。あとなんでか、
俺が行くとよく連れて帰っちゃうんだよね。」と言っていました。
その後は友人に私のマンションまで来てもらい、できれば連れて帰ってくれと言ったのですが
自分の意志でできるものではないらしく、その日友人は帰りました。
後日、9月末日にまた着信があっても嫌なのでこれを機にスマートフォンデビューしようと思い契約し、
電話番号も変えてもらったところ一切の現象が起きなくなりました。
これは友人のおかげなのか携帯を変えたおかげなのかわかりませんが、
実際に心霊体験というものは案外あっさり終わるものだと知りました。