立待岬で崖下に立っていた、うつむく女性は(函館)

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数年前に夫と函館へ旅行へ行った時のことです。

訪れるのはもう何度目か、特に気に入ってたのは

眼下に広がる海を一望出来る立待岬。

いつものように車で岬へ向かい、二人で柵にもたれ掛かるようにして海を眺めていました。

平日の昼間ということもあってか他に人はいなく、

少し風の強い日だったのであたりには風の音と波の音だけが響いていたのが今でもよく覚えています。

ふと夫があれっというような声をあげ、岬の真下を指さしました。

そこに見えたのは赤いジャンパーに黒いズボンといったラフな格好をした中年女性の後ろ姿。

荒波が足元に当たるような岬の下、つまりは崖下に立っていたのです。

最初は、地元の人かな何してるんだろうなんて夫婦で話していましたが、

時間が経つにつれておかしなことに気が付きました。

その崖下に続くような道は見当たらなく、

女性が立っている両脇には足を乗せられるような岩もないのです。

そもそもいつからそこに立っていたのか。

最初に発見してからおそらくは10分近く

時間が経っているにも関わらず女性は微動だにしません。

そしてあることに気がつきました。

女性は海ではなくうつむいて足元だけを見ているのです。

それに気がついてからは急に背筋が寒くなり、

なんだか見てはいけないものを見ているような気がしてその場を離れることにしました。

と、ここでそのまま何もせず帰っていればよかったものの、

あまりにはっきりとしたその姿にやはりただの地元の人なのではないのか

本当は下に続く道があるのではないかという疑念を捨てきれず、

岬から女性を携帯の写真に収めてから帰ったのです。

その日の夜、何度か訪れているお鮨屋さんでその話しをしました。

地元の方もお客さんとして数名来ていましたが一同皆、

あそこは行かないほうがいいと声を揃えたのです。

そこは心霊スポットとして有名で地元の人は近づかないとのことでした。

そこにいた一人がぽつりと、あそこの岬は下におりる道ないよとつぶやきゾッとしました。

ついでに写真もあるので見てみようと、一同変な盛り上がりになったのですが

なんと携帯の写真一覧が表示できなくなっていたのです。

翌日携帯ショップに持っていき診断してもらったところ、

なんらかのウィルスで写真が全部ダメになっている。

何か外部からダウンロードしたのかを聞かれました。

旅行中は写真を撮るくらいであまり携帯も使っていなかったのと、

何かをダウンロードした記録もなかったので携帯ショップの店員さんも首をかしげていました。

結局旅行中の写真もすべて、あの女性の後ろ姿も含めデータが消えてしまったのです。

あの時写真を撮ってしまったことと何か関係があるのでしょうか。

今となっては何か恐ろしい写真を見てしまうよりは

消えていてよかったと思います。

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