もう15年程前のお話です。
毎正月、着物を着て祖父の家に行くのは恒例でした。
いつも同じ場所で写真を撮るのも楽しみの一つでした。
現像して、いつものように写真を見ていると、ある一定の場所で撮った写真だけ違和感がありました。
撮り損じがないように同じ場所で2、3枚撮るようにしていたのですが、
階段の前で撮った写真だけぼやけていたり、顔だけ映らない写真がありました。
とても不思議だったのですが、なにかの不具合だろうと思っていました。
その写真を撮った日から、家の中で不思議な出来事が起こるようになりました。
触ってもいないスーパーの袋が浮いたり、お風呂場に黒い影がうろついていたり。
写真と関係しているとは全く思わなかったのですが、
やはりお正月に写真を撮ってからどうも良くないことや不思議な出来事が多すぎて、
すごく怖くて、祖父にその話をしました。
祖父は重い口は開くように、
「前日に飛び降り自殺があった」
と言いました。
ちょうど、私たちが立って、写真を撮った場所が、飛び降りがあった場所だと知りました。
祖父の住んでいる真上に住んでいた女の子が飛び降りて亡くなったそうです。
以前から、仲良く楽しそうにしていた私たちを上の階から見つめていたのは知っていました。
その言葉を聞いた瞬間、背筋がゾクっと感じたのを覚えています。
事情を知った私は、真っ先に神社に行き、その写真を供養してもらいました。
その後、不思議な現象はピッタリなくなったのです。
その報告をしに祖父の家に行き、いつものように
「帰るねーまた来るねー」
と言った時、少女の首だけが上から覗いているのが見えました。
小さな頃から霊感のあった私は、目を合わせてはいけないと思い、足早にその場を離れました。
ずっと気にはなっていたのですが、その住宅に住んでいる人の玄関先には、なぜか必ず盛り塩がありました。
今もその住宅はあります。