地元を離れ東京に就職してアパートに住んでいました。
住んでいた場所は203号室で、一階と二階しかないアパートでした。
朝出勤する時に202号室と201号室の前を通るのですが、
毎朝必ず202号室の綺麗なお姉さんとすれ違います。
軽く挨拶をするだけなのですが、それが毎朝の楽しみの一つでもありました。
201号室にはおじいさんが住んでいるのですが、いつもネコを抱いているような人です。
204号室の住人とは会ったことはありませんが、
住んでいる気配はあります。
アパートの住民もみんな良い人でしたので何も不満がありませんでしたが、
住みだして2週間が経った頃です。
夜寝ている時に時間はバラバラですが204号室側の壁からドンドンと壁を叩いてる音がするのです。
あまりにもうるさいのでトントンと叩き返したら、トントントンと叩き返してくるのです。
あまりにもうるさくて眠れないので、僕は大家さんに怒りの電話をしました。
夜遅くに204号室の人が壁をトントンと叩いて眠れないといったら
大家さんが204号室は誰も住んでいないと言いました。
何を言ってるんだこの大家はと思い、202号室と201号室の人達も204号室の人には迷惑していると大家に嘘を伝えました。
そしたら大家がこう言いました。
それはありえませんよ、このアパートに住んでいるのはあなただけですよ。
その時僕は血の気が引きました。
その後このアパートについて調べたのですが、建てられる前もこの土地にはアパートが建てられていたそうです。
そのアパートが無くなった理由は、火事で全焼してしまったそうです。
201号室と202号室にはおじいさんとお姉さんが住んでおり、204号室にも住人が住んでいたそうです。
もしかすると夜204号室からトントンと叩いてくる音は火事から逃げ遅れて、
助けてくれと叩いている音だったんではないかと僕はそう思いました。