中学三年の時、修学旅行で行った十和田湖近くにある
ホテルで私が体験した事をお話しします。
私の通う中学は過疎地域にあり同学年が10人にも満たない小さなクラスでした。
その日の宿泊先だったホテルはかなり築年数がいっており
全体的に古く、簡単に言えば薄気味悪い感じでした。
子供の頃から少しだけ霊感があった私は、
亡くなった方が白っぽい影で見え事があったり、
場所によっては嫌な気配や金縛りなどを体験していて少しだけ嫌な予感はしましたが、
滅多にない友人とのお泊りに気分は高揚していました。
古い建物の期待薄感に反して豪華な夕食とクラスメイトと入浴したり、
消灯後は女子全員でトークを楽しみながら眠りにつきました。
夜中に尿意で目が覚め、誰かと一緒に行きたかったのですが皆熟睡中です。
仕方なく1人でトイレへ向かうことにしました。
夜の廊下は常夜灯で薄暗く照らされている程度で一瞬躊躇しましたが、
意を決して向かうとトイレの入口のドアの中に誰かがサッと入っていく様子が見えました。
「良かった!一人じゃない!誰かいるうちに自分も用を足そう!」
と小走りをし始めると同時に金縛りに見舞われ、そのまま廊下の床にうつぶせの形で倒れ込みました。
「えーっ!?このタイミングでこんな場所で!?」
と考えながらひたすら目をぎゅっとつぶって金縛りが解けるのを待っていました。
その時です。
顔の前で手を組む形でうつ伏せに倒れている私の腕に、
ポタ・・ポタ・・と冷たい水滴が落ちてくるのを感じました。
「えっ!!?」
目を開けて視線を横に動かしてみると、皮膚は緑っぽくふやけ、
長い髪も、着ている黒い服もずぶ濡れの女性が私のすぐ横に体育座りをしていました。
その長い髪先から水滴が私の腕に垂れてきているのです。
再び目をギュッとつぶって、声にならない悲鳴を心の中で叫び続けました。
そして、ふと金縛りは解け女性も消えていました。
水滴もいつの間にか消えていました。
時間にしておそらく2~3分だったのですが本当に長く感じました。
もう尿意など吹き飛び、すぐ自室に戻って大騒ぎで皆を起こして
先生にも起きてもらい一通り話を聞いてもらいました。
そのあとは皆一睡も出来ず寝不足の旅行となり迷惑をかけたと思います。
あの女の霊と私に波長があったのか、何か言いたいことがあって出てきたのか分かりませんが、
後にも先にもあれ程までに強烈な体験をした事はありません。