これは私が中学生の頃の話です。
学校はカトリック系で、中学高校一貫で戦前からある女学校です。
戦争中は修道女達が軟禁されていて、何人かの方は病気などで亡くなっていると言われていました。
そんな学校に通っていたある日の放課後のことです。
蒸し暑い夏のある日でした。
部活もなく図書館に友達と籠り、ちょうど帰ろうと暑い廊下を友達と話しながら歩いていました。
時間はだいたい16時くらい。
もう少しで階段に差し掛かる場所で、私は突然、寒気を覚えました。
蒸し暑いはずなのに急に寒気がしたのです。
不意に後ろを振り返ると、女性の形をした白い何かが後ろから来て横を通り過ぎていきました。
女性の形をした白い靄は突き当りにあった部屋へと入っていきました。
鍵もドアもいつも締まりっぱなしの部屋に。
立ち止まってその一部始終を見ていた私が我に返ったのは、友達に肩を叩かれてからです。
寒気がしていたのに友達に声を掛けられてようやく蒸し暑さを肌が感じ始めました。
友達に今何か見えなかったと聞いても、一瞬寒くなかったかと聞いても友達は首を傾げるばかりでした。
後日、学校の先生に私は白い靄が入っていった部屋が何の部屋か聞いてみました。
今は物置となっているその部屋なのですが……
先生曰く、その部屋は戦争中に修道女達が軟禁されていた部屋の一つだというのです。
その上、何人もの修道女がその部屋で亡くなっていると。
私の見間違いだったのか。
心半ばで亡くなっていった修道女達の本物の幽霊だったのか。
その後、高校を卒業するまで見ることがなかったので、本当の所は分かりません。
ですが先生の話を聞いた瞬間、ぞっとしました。
これが私だけが体験した不思議で、寒気のするような話です。