「ムラサキ、ムラサキ」全てのものが紫色になる怪現象の話

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北海道

亡くなった祖母の実体験です。

祖母は日本舞踊の教室を持っており、

着物をよく購入していました。

奇妙な体験が起きたのは年に一度、

大きなホールで日本舞踊の舞台を行う前の事です。

祖母は毎年このために、

時代劇ものの舞台を創作していました。

「織田信長」などの自決シーンなど、

異常に表現豊かで好評を得ていたことを覚えています。

それがその年は、

とある合戦物語を題材にしていたのです。

合戦の物語を考えていた時、

祖母がある日起きると奇妙な声が聞こえました。

それは祖母の耳元でこう言ったそうです。

「ムラサキ、ムラサキ」

その声を聞いて起きた祖母は、

視界に広がる光景を見てびっくりしました。

全てのものが紫色に見えるのです。

ちょうど、セロファンで目を覆ったときと同じように、

すべての世界が紫で染まっていました。

慌てた祖母ですが、眼科に行ったものの異常なし。

信号機の区別がつかず、当時はとても困ったそうです。

数日して、祖母が着物に袖を通したときに、

突然視界が明るくなりました。

紫色がなくなったのです。

今まで通り見えていた世界が広がりました。

一体どうしたことだろうと、

祖母は不思議に思いました。

ですがすぐに理由はわかりました。

その日着用した着物の色は、

紫色だったそうです。

その後も、

しばらく紫色の着物を身に着けていないと

視界の色が変わるという現象が続きました。

その内に着るのを忘れていると、耳元でまた

「ムラサキ、ムラサキ」

の声が聞こえたそうです。

舞台は無事に終え、

合戦物の舞台が終了するまでその現象は続きました。

今はその紫の着物は裁断され、

布を一部私が持っています。

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