・母校の合併
私は小さな田舎村の出身です。
地域の過疎化に伴い、二つあった小学校が合併されることになりました。
私がいた小学校は廃校が決定し、もう一つの小学校は市役所で使うコミュニティーセンターとして残されることになりました。
それほど小学校同士の交流も無かったので、私はそれまで入ったことがありませんでした。
初めて入ったのは村主催の夏のキャンプイベントの時でした。
・キャンプイベント
小学校1年生から6年生までの希望者を募り、夏に毎年キャンプイベントが開催されていました。
合併後ということもあったので、私は小学4年生の時に初めて参加しました。
内容は一般のキャンプです。
テントを組み立て、バーベキューをして、キャンプファイヤーもありました。
役場の人が子供たちの世話をするんですが、とは言っても小さな村ですから、ほとんどの方が顔見知りで和気あいあいとキャンプイベントは進行していきました。
・水場
キャンプ会場がその旧平舘小学校のグラウンドでした。
そしてお手洗いや水飲みは、体育館に入ってすぐ右にある場所を使うように指示を受けました。
その時初めてそこに入ったんですが、いや実は入る前から感じてはいたんですが、
とても嫌な雰囲気のする体育館で昼間だというのに暗く、とてもジメッっとしていたんです。
幼少期からそういうものを感じやすかった私は嫌な予感がしていました。
・ステージに出たぞ!
私は何だか気持ち悪さを覚えたので、一連のイベントが終わったらすぐ寝てしまおうと思い、誰よりも早く寝袋に入りました。
ただ無邪気でやんちゃな子供たちは随分遅くまで悪ふざけをしていたようです。
何時だったんでしょう・・・突然ハッと悪寒が走り、夜中に突然目が覚めました。
その感覚は知っています。近くに”いる”時です。
同じキャンプのメンバーは誰も戻っていません。
胸騒ぎがしたので、外に出た時でした。
「ステージにお化け出たぞー」
と騒ぎながら走ってくる子供たちに会いました。
一目散に逃げてくる子供たちとは逆走し、私は体育館に向かいました。
・本当にいたもの
そうやら肝試しをしていたようで、ステージの上にお化けが出たと誰かが脅かしただけだったみたいです。
安堵の息を付ついたその時でした。
そこにはしっかりといたんです。
いたのはステージの上なんかじゃありませんでした。
体育館の真ん中です。
最初は役場の方だと思ったんですが、鳥肌が立ち、背中がチクチク痛み出したんです。
マズい、と感じた私は、役場の人に告げ口し、夜更かしをしている子供たちを無理矢理テントに押し込ませました。
翌日役場の人に来ててみました。
案の定予想居通りの答えが返ってきたんです。
・・・そんな人、いないよ
彼らは見えなくてよかったと思います。
私はしっかりと見てしまいました。
体育館の真ん中で青いワンピースをきて、鬼のような形相をしている女の人を・・・
あの女の人とその場所にどんな因果関係があるかはわかりません。
旧平舘小学校は今もそこに存在しています。