東日本大震災にて、地震、津波により莫大な被害を被った福島県南相馬市。
私は生まれてから今現在に至るまで、ずっとその南相馬で暮らしている者です。
今でこそその類の話しは耳にしなくなりましたが、
震災直後はそれは多くの心霊現象を思わせる話しが蔓延しておりました。
そこで、当時私の身の回りの親しい人が体験した不思議な現象、
また、私自身の身に起きた少しゾッとする話しを紹介させていただきます。
階段を登ってくる音
当時の南相馬は津波による犠牲者の数が膨れ上がり、
そこら中の建物が臨時の遺体安置所として利用されていました。
私の知人(仮にAとします)の職場も一階部分を安置所として使用し、
Aはその二階で当時電話番をしていたそうです。
ある日いつものようにAが電話番をしていると、
一階から話し声と階段を登ってくる足音が聞こえたそうです。
そこは役場のような場所で普段から人の出入りが多かったので、特に意識もせずにいたそうです。
そして二階のAの居る部屋の扉がガチャっと開いたので振り返ったのですが、誰も居ない。
Aは扉の所まで行き周囲を確認したのですがやはり人っ子1人いない。
気のせいかと思い電話番に戻ったのですが、また程なくして話し声と階段を登ってくる音。
しかしやはり誰も居ない。
Aが実際に体験した話しを聞いただけなのでオチも何もないのですが、
やはりそういう類のものだったんではないか、とAは振り返っておりました。
私を呼ぶ声
これは私自身が体験した話しです。
私は実家暮らしで家族と住んでいるのですが、私の部屋は離れで母屋と別れた場所にあります。
当時、なんの用事かは忘れてしまったのですが私は出掛けていました。
出先にて携帯電話に父から着信が入ったので電話にでたところ、
「今部屋に誰か来てるのか?」
と言うのです。
誰か来ているも何も、私自身が部屋に居ない訳ですからそんな事はあり得ません。
その旨を父に伝えると、
「さっきから〇〇くん、〇〇くんって女の子がお前を呼んでるのが聞こえるんだよ」⚠︎〇〇は私の名前です。
とのこと。
その時はたいして気にせず、
「いや怖いこと言うのやめてよ。俺をくん付けで呼ぶ知り合いなんて居ないし、そもそも俺が居ないんだから」
程度に答え電話を終えました。
そして用事が済み夕方過ぎくらいに帰宅しました。
すると母が玄関に赴き、
「え、あんた出掛けてたの?部屋に誰か居るの?」
と聞いてきたのです。
流石に若干ゾッとするものを感じ
「いや今帰ってきたんだけど、え、なんで?」
と母に尋ねると、
「いや〇〇くん〇〇くん、って女の子の声してたから、あんたも部屋にいるもんだと思ってたわよ」
全身に鳥肌が立ちました。
父と母が示し合わせた訳でもなく、同じことを別々に言ってきたのです。
前述した通り、私は昔から友人からは○ちゃん、家族や先輩などからは名前の前半部分だけで○と呼ばれることしかありません。
〇〇くん、と私を呼ぶ、ましてや女の子などいくら考えても一人も思い当たらないのです。
私自身全く霊感なども無く、今でもその部屋で普通に暮らして居るのですが、
両親共に聞いているあの時の女の子の声は一体何だったのか?
結局答えは分からずじまいです。
救いなのは、私自身はその声を聞いていない、ということですね。

