これは私の友達のA君から聞いた話です。
A君とは幼少からの友人で、よく体質的に霊を見たり怖い体験をしている人です。
これは、彼が就職し初赴任地で体験した怖い話です。
A君は進学し、就職が決まり初赴任地が新潟県でした。
地元から離れた場所でT市という所に勤務しました。
彼は仕事を覚える為一生懸命努力をしていました。
その際に彼は外回りで町の隅から隅まで行き声掛けや営業し、お客さんと交流したり成果を挙げてきました。
彼は外回りをたまにする際に一つ気になることがありました。
彼の勤める会社の支店から歩いて5分も掛からない所に一つの大きな屋敷がありました。
それはその街の中では珍しい洋館風の屋敷でした。
しかし、屋根は穴だらけ。玄関は草木が生え放題。
所々錆びていました。窓ガラスは割れっぱなし。
ですが、住人は住んでいない。
管理している者は遠方に住んでいて、半年に一回しか来ない場所でした。
壁や屋敷にはスプレーでサインが書かれていたりしていました。
彼は気になって上司のMさんにその話をしたら、
「二度とその話はするな!それにあの屋敷には近づいてはいけない!中に絶対入るな!!」と怒られたそうです。
A君は聞いては行けないことだと思いそれ以来何もその屋敷も気にしないようにし聞かなかったそうです。
しかし、半年後の秋の始まりでした。
A君は仕事で夜にクレーム対応で体調の悪い担当者の代わりにお客様の所に謝罪対応に行きました。
屋敷のある方面で歩いて品物を持って謝罪に行きました。
お客様は話したら理解し、逆にA君にあやまりお詫びに食事をして行けと言われたそうです。
会社に連絡し直帰していいと許しが出たのでお言葉に甘えて食事をしていったそうです。
その後話もし、お客様の家を出たのは夜の22時頃だったそうです。
彼はお客様の家を出て、自身の住むアパートに向かいました。
次の日は休みでしたので安堵していました。
歩いて行くと前方にボロ屋敷が見えてきました。
ブオンという爆音とともに二台のバイクがボロ屋敷に入りました。
町の暴走族で良く夜や深夜、信号無視をして走っている二人組でした。
A君は警察のパトカーが追っかけていても振り切ったのを見たことが何度もありました。
金髪でノーヘル。特攻服を着た若い男性二人が入っていったそうです。
噂話では二人組がよくボロ屋敷の前で昼間煙草を吸ってたりアジト代わりにしていたそうです。
A君はその光景を見てさっさと帰ろうと早足で過ぎようとした時でした。
「ギャアアアッ!!」
暴走族の二人は青ざめた顔でバイクに飛び乗ってスピードを出して叫んで走り去っていきました。
A君は何かあったのかと、屋敷を見ました。
すると屋敷に二階の窓ガラスの割れた部分に何か白い物を見ました。
良く見るとそれは髪の長い白い女性でした。
能面のような表情で、ニタリと笑っていました。
「うわっ!!」A君は全力疾走でアパートに走っていきました。
とにかく怖くて恐怖で逃れたい思いで心臓が飛び出しそうでしたがダッシュしてアパートに戻り直ぐ寝たそうです。
その数週間後何事もなく、A君は仕事で町の大きな病院に品物を先輩と届けることになりました。
その際に病院に入った時に、暴走族の二人組の一人を見かけました。
その姿にA君は驚きました。
「こわい…こわい…許して…」
若い男性は青ざめて痩せて家族に付き添われて呪文のように同じことを連呼していました。
A君は怒られるのを承知で病院を去る時に車の中で先輩に先日起きた事を話したそうです。
すると先輩は重い口を開いて話したそうです。
以前、その屋敷にはお金持ちの方々が住んでいたそうです。
事業家で仕事も順調で事業も成功したそうです。
ですが、若かった娘が病気で亡くなってから、祖母は原因不明の自殺。
母親は灯油をかぶり焼身自殺を図ろうとしたり、事業家の父親もおかしくなり、
趣味の猟銃を持ち出して訳の分からないことを喚きながら発砲しようとし
警察に止められたりしたそうです。
やがて残った家族は遠方に去って行ったそうです。
それ以来人のいなくなった屋敷では幽霊を見かけたとか、
中に興味本位で入っていくと事故が起きたり、怪我したりした方が多数出て
地元でも近づけないスポットになったそうです。
市役所でも処分しようと動いたらしいのですが所有者の快い返事もなく、
何故か撤去に動けずにずっとあのままで地元ではタブーとされていたそうです。
A君はそれ以来仕事で外に出たときは決して屋敷を見ないで動くようにしたそうです。
彼は3年で転勤し別の場所に行きました。
今は奇跡的に地元に帰ってきて仕事をしています。
だけど、1年前に当時の上司Mさんが亡くなられて葬儀にT市に行ったそうです。
葬儀場が屋敷の方向にあったので人の車で通ったそうです。
屋敷は…健在していたそうです。
ですが、手入れもなく草は伸び放題。
二階は完全にボロボロになってほぼ一階しかない状態でした。
ロープや有刺鉄線がしてあり立ち入り禁止の看板も出ていました。
看板をチラッとA君は見たそうです。
(命が惜しければ、死にたくなければ絶対入るな…)
赤い字で書かれていてA君は背中から汗が止まらなかったそうです。
そんなA君の体験した怖い話でした。