1970年代に火災で焼失し、多くの死傷者を出した大洋デパート跡地にあったダイエー下通り店(現在は閉店・別の商業施設になっているそうです)で、
アパレル販売員をしていた知人女性から、幽霊を見たという体験を聞きました。
ダイエー開業当時から、火災で亡くなった方の幽霊が出るという噂は近隣住民の間で広く語られていました。
例としては、スナックのホステスさんが遅めに出勤するためにアーケード内を歩いていると、
閉店したダイエー正面入り口のガラス戸の向こうに、髪を振り乱して狂乱状態になっている真っ黒な人影が群れになっていたという話。
3・4階の間の下りエスカレーターに乗っていると、後ろから来た誰かが無理に横をすりぬけようとする(田舎なので端に寄って立つ習慣がない)、
驚いて気配のあった方を見るが誰もいなく、人がぶつかったように感じた肩には煤がついているといった噂話がありました。
周囲には飲食店が多かったため、接客業関係によくおられる霊感の強い女性はそこには近づかない、
そばを通るだけで不穏な気配を感じるという方は多かったと聞いています。
実際にダイエー下通り店で働いていた知人の話
婦人服売り場に勤めていた知人女性はやや霊感が強く、日が落ちた後やバックヤードでは出来るだけ一人にならないようにしていたそうで、
従業員の中でも見た・感じたという噂は聞かれたため、多くの従業員が暗黙のルールのようにそうしていたそうです。
その日は月末で、彼女は同僚の女性と3階にあった店の締め作業をしており少し遅い時間になっていました。
フロアには2人だけだったそうです。
作業がひと段落した所でお手洗いに行きたくなりました。
今まで店内で嫌な気配を感じる事はあったものの、実際に何かを目撃したり、目撃した事のある人に会った事がなかったため、
やや怖いと感じながらも同僚の了解を得て一人で向かったそうです。
お手洗いには誰も居なく、個室に入って用を足していると、ヒールで床を踏むような音が2・3度聞こえました。
ですが、入口のドアを開けた音がしなく、しばらく耳を澄ませてみましたが、それ以降音もしないので、勘違いかも知れないと思い恐る恐る個室のドアを開いたそうです。
室内には誰もいませんでした。
彼女はホッとして、洗面台へ向かい手を洗っていた所、背後で「コツ」というローヒールのような音が聞こえたそうです。
反射的にに正面の鏡を見ると、彼女の背後に女性のような人影が見えました。
彼女の背後をフラッと横切るように移動しましたが、今度はなぜかヒールの音は聞こえませんでした。
その女性の様な人影は目鼻がある事は分かるものの、全身が黒く煤けて、髪はボブカットくらいのパーマが滅茶苦茶に乱れたようになっていました。
彼女の方を見ずに通り過ぎ、振り返った時にはいなくなっていたそうです。
知人女性は同僚の元へ走り、すでに業務は終えていてくれたため、そのまま2人で帰途についたとの事でした。
彼女の話では、お手洗いで目撃した人影は背が低い30~40代くらいの女性の印象で、全身が黒かったのはやけどか、煤が貼りついていたのかは良く分からない。
けれど人としての厚みがあり、火事の被害者の方の姿だとすればテレビの再現VTRなどよりもっと濃いグレーのような色で全身が覆われて不気味だったと言っていました。
その後、彼女の話を聞いた一緒にいた同僚の方が、幽霊が怖いからとの理由で先に退職してしまったとの事です。