今年の3月、私の母が亡くなりました。
孤独死でした。
うちから車で5分もかからない所に1人で住んで居た母は
『なんかあったら電話するから、来てくれれば良い』と私達との同居を拒み続けていました。
そんな母が亡くなる1週間前に突然奇妙な事を言うようになったのです。
『夜になると毎日珍客さんが来る』と。
私は『タヌキでも来るの?』なんて言ったのですが、母は小さな子供がいっぱい来ると言うのです。
母は団地に住んで居たので そんな夜に団地の子供達が?と不審に思い聞くと、団地の子供では無いと言うのです。
しかもカギもかけてるのにいつの間にか部屋の中にいっぱい居ると。
その時私は母が痴呆症を発症し始めたんじゃないかと思いました。
それで次の日会社の同僚に話してみた所、そこのお母様も痴呆症の始まりは、
小さな子供がいっぱい居ると居もしない子供達を追いかけて居たと言いました。
もう1人では置いておけないと思いその日も夕方仕事を終えて行ってみると今度は大人達もいっぱい来ると言うのです。
一緒にうちに行こうと言っても聞き入れてはくれず、とりあえず毎日仕事終わりに様子を見に行って居ました。
4〜5日経った頃でしょうか、母は部屋に入りきらない程の人達が来てベッドで寝てる人も居るから私が寝れないと言うのです。
その次の日は 『昨日は私の耳元でみんながゴチャゴチャ言ってうるさかった。
なんて言ってるのか全然わからんけど、とにかくゴチャゴチャ言われる。
だから連れて行きたいならさっさと連れて行け!て言うた』と言うのです。
私が何も気配は無いと言うと母は あんたが居る時は絶対来ない、夜中しか来ないんやからと。
私は主人にその事を話しました。主人も日曜日に一緒に行ってうちに連れて来ようと言ってくれました。
でも、次の日の夕方母の元を訪ねた時、母は部屋の中で冷たくなって居ました。
日中カギは開けたままにして夕方私が帰ってからカギをかけて居た母。私が訪ねた時玄関のカギはかかったまま。
きっと今日を迎える事なく亡くなったんだと。
夜中に現れると言って居た人達、本当に母を連れに来た死者だったのでしょうか…