これは私の友人が実際に体験したお話です。
それは夏のある一夜の出来事です。
私を含めた友人5名は長崎県の某大学に通う二年生で、
その日も日が沈んだ後、友人Aの自宅に集まると約束を取り付けていました。
私もアルバイトを終え、市内を走る路面電車に揺られ住吉のA宅へと向かっていました。
ところがいざ到着してみると、Aの都合が悪くなったとのことだったため、
すでに集まっていた友人と私を含めた四人で話し合い、私の住むアパートに向かう運びと成りました。
その際、私と友人Cは友人Bの車に、友人Dは自身の原付で向かう事になり、
A宅から私のアパートへ向かうルートは西山超えと言って山を一つ超える最短ルートを選択しました。
道中、車が先行する形で私とCは窓から顔を出し、後ろをついてくるDをからかい、車内では活気に溢れていました。
出発してから15分が経った頃、峠を超え、麓の川平ICの出入り口が隣接するガードレール添いを下り、交差点に差し掛かっていました。
信号は青、遮るものも歩行者もいません。
私のアパートも、もうすぐというところ、私達がからかっていたDが急な減速をしたのです。
最初は猫でも飛び出したのだろうと思い、私達は先に向かう事にしました。
しかし、後から着いたDが原付から降り、ヘルメットを取った顔は血の気が引いていました。
何があったのか聞いてみると、山を下っている際、あの交差点の手前にある街灯の下に人影が見え、
この世のものとは思えない異様さを感じ、恐怖のために減速してしまったとのことでした。
もちろん、私達も同じ道を通ってきたのですから、人がいれば気づいたはずです。
何より私はその話を聞いて、その場所、その現象に心あたりがありました。
私自身聞いた話ではあるのですが、そこはかつて交通死亡事故があったそうで、
現在もなお街灯の下のガードレールに切ったペットボトルがくくりつけられ、献花してあるのです。