これは数年前の夏の終わりの事です。
私の学生時代の友達が軽井沢で結婚式をすることになりました。
私は友達のMくん、H君らと共に長野に行くことになりました。M君の車に乗って軽井沢で友達D君の結婚式に参加。
いい環境で泊まりました。
次の日は帰るのみでした。
ですが、奇跡的にM君と、H君と私は月曜日が休みでした。
滅多にこんなことないけどちょっと長野県を小旅行しました。
善光寺や小布施、食事等をして夕方になる前に木崎湖に着きました。
観光客もいて、天気も良く湖の周りは自然があふれて空気も良くいい眺めでした。
1時間ほど滞在し車に乗って帰ろうかと思いました。
ですが、M君の車が突如動かなくなりました。
全くエンジンが掛からない状態で。
色々と試したり、車を止めた付近のお客さんにバッテリーのケーブルも繋げてもらいましたが全く動かず。
某ロードサービスに連絡したら行くまでに他の故障者と距離もあり直ぐには行けない。
2時間くらいかかると言われました。
陽も落ちて暗くなり次第に観光客も帰り、人が少なくなりました。
私達3人は待つことしかできませんでした。
近くで食事する場所もあるし、場合によっては泊まる施設も空きがあるとのことでしたので、最悪のケースを考えながらも待ってました。
とりあえず近くで食事し救援を待つことにしました。
食事を終えた頃、辺りは真っ暗になってました。
車の置いた場所は私達の車しかありません。
周りにも人はいませんでした。
携帯にロードサービスが近くに来たら連絡するということで待ってましたが何もありません。
とりあえず車の中で運転に疲れたM君は寝て、H君はスマホで遊んでました。
私はトイレに行きたくなり車を出て行って済ませました。
夜の木崎湖がなんかボヤっとして幻想的で月明かりが水面に写って綺麗でした。
私はH君の車に戻ろうとしましたが、突然辺りが霧っぽくなり何だか視界が悪くなってきました。
何か不気味だなと思いながら車に向かおうとしました。
耳元に「フフッ」と小声で笑う女性のような声が聞こえました。
少し驚き辺りを見回しましたが誰もいません。
ちょっと気味が悪くなり帰ろうと木崎湖を見ました。
すると何か黒いようなものが飛んでいました。
最初はよくわからないけど、目を凝らして見ると、それは長い黒髪に女性の顔で首だけでした。
色白で無表情で漂ってました。
私は信じられない光景と恐怖で猛ダッシュして車に戻りました。
体中から汗が出てました。M君達に話すと笑われました。
たまたまH君が冗談だろうと私の腕を軽くたたきましたが直ぐ止めて彼は言いました。
「な、なんだお前この腕の冷たさ。水の中でも使ったの。氷みたいな冷たさだ。」
腕を触ると自分でも感触でわかりましたが、非常に冷たくて氷のような感覚でした。
背中や顔から汗は出てるのに腕だけ何もないのです。
別に何かに当たったわけではないのに。私とH君は黙り込んでしまいました。
ちょうどH君のスマホに電話が入り、ロードサービスが来て見てくれました。
電気系統とエンジンオイルらしく、ブースター繋げたらエンジン掛かりました。
ただ、エンジンオイルはH君は結婚式1週間前に車検で新しいものに入れてそれからそんなに走ってませんでした。
サービスの方がエンジンオイルが無くなりそうでしたとH君に言ってきて彼は信じられない顔をしていました。
その後霧も無くなり、何事もなかったのでエンジンオイルも補給し車で帰りました。
その後何もありませんが、あの日見た木崎湖に飛んでいた首だけの女性の表情が今でも脳内に焼き付いています。
無表情で白く漂った女性の首が。
何だったのかはわかりませんが怖かったです。
そんな体験でした。