私の友達にU君がいます。
幼少の頃からの友達でアニメやゲームな大好きな人です。
暇さえ見つければアニメやゲームの舞台になった場所に聖地巡りに一人で行くほどのパワーがあります。
これは彼から聞いた話で5年前の事です。
彼は今から10年前に放映され今、BSでも再放送されているアニメ、「涼宮ハルヒの憂鬱」に嵌り好きになりました。
放映終了後、舞台となった場所が兵庫県の西宮でした。
U君は当時仕事が忙しく放映後に行く予定がずれ込み、自身も病気し快復。
結果、行けたのは今から5年前の春にやっと休みを取れて車で一人で行きました。
彼は、午後15時頃到着。
アニメでも出てくる通学路を初日回ることに決めたそうです。
阪急甲陽線の甲陽園駅からスタートし歩いていきました。
アニメに出てくる建物や風景を楽しみながら彼はスマホで写真を撮り歩いていました。
短大前を通ると高校生や短大生の下校途中だったので怪しまれないように歩いて行きました。
ひたすら長く延々と続く長い上り坂を登り、西宮北高校前に到着し感動しました。
ハルヒ達の通う高校がモデルとなってました。
U君は撮影したかったのですが、高校生が校門に居たりしたので、撮影を断念。
散歩したふりをして翌日に挑戦しようと戻りました。
ホテルに戻り近くで食事し帰ろうかとしましたが、U君のオタク仲間の一人からTELがありました。
「夜の風景の西宮北高校の外観を撮影してほしい。」と懇願されたそうです。
私はよくわかりませんがアニメでも話の中で夜の高校が舞台の回があったらしく、U君は世話になっている仲間なのでOKしたそうです。
夜の20時くらいに彼は再び甲陽園駅前に着きました。
春でしたが夜は少し寒く、厚着をして西宮北高校を目指しました。
昼間は温度が熱く汗を搔きましたが、夜はそんなでもありませんでした。
ただ所々街灯が少なく寂しく少し怖さを感じました。
西宮北の長い上り坂に差し掛かろうとした時でした。
向かい側から歩いてきた人がいました。
人は少なくU君は驚いたそうです。
歩いてきた人は長髪を束ねた男の人でした。
手にはアニメやゲームのキャラクターの袋をぶら下げていて、U君は聖地巡りのファンの一人だと直感しました。
突然、長髪の男性はU君にいきなり声かけてきました。
「あんた、西宮北高校に行くの?」と。
U君は簡単に事情を話し答えると、
「今日はできれば止めたほうがいいかもしれないよ。俺は怖いから引き上げだ。」
と長髪の男性は言ってきたそうです。
顔色をよく見ると青ざめていました。
「撮影したらすぐ帰るんだよ。」手を振って長髪の男性は去っていきました。
U君はよく訳が分かりませんでしたが、その理由が到着して理解できたのです…。
息を切らしながらU君は何とか西宮北高校に到着しました。
周りに生徒や人が居ないか確認しましたが誰もいませんでした。
正門で軽く撮影しました。
オタク仲間の人は裏門を撮影してほしいと要望があったため、U君は何とか反対側に行き、裏門に到着しました。
裏門は閉まってあり、その先は軽い坂に校舎の建物がありました。
U君はスマホで数枚撮影した時でした。
ガコン
と何処からか音が聞こえました。
U君は周りに人が来たのかと振り返ったり周りを見ました。
ですが誰もいませんでした。
ホッとして、もう数枚撮影しようとU君は校舎を見上げました。
U君は言葉を失いました。校舎の窓ガラスに、白い人間のような輪郭がありました。
校舎には明かりがなく誰も残っていません。
白い輪郭の顔が笑っていてU君を見ていたのです。
「うわーっ!」
U君は怖くなり猛ダッシュし下り道を走りました。
途中で転び膝を擦りむきジーパンも破けましたがお構いなしに走り、甲陽園駅へ。
ちょうど列車が来たのでそれに乗り帰りました。
列車の席に座り息を整えていたら、「これ飲みなよ。」と声を掛けられました。
見ると先ほどあった長髪の男性でした。
缶コーヒーを渡され一気飲みしました。
「あんたも裏門で見たん?」
長髪の男性の言葉にU君はうなずくしかできませんでした。
その後会話を二人は交わすことなくU君はホテルのある場所で降りて長髪の男性に会釈しホテルに戻りました。
U君は次の日も他の場所に回ろうかとしましたが、白い輪郭の笑い顔が冷たくて怖い視線で気になって止めて朝一で車で地元に戻りました。
今ではU君はそれをコミカルに笑い話のように言います。
ですが、「もうあそこには二度と行きたくない。そんな予感がする。」と言ってます。
特に付近で霊を見たとかそんな話はききませんが、あの日長髪の男性やU君が見た物はいったい何だったのでしょうか?
そんなU君が体験した怖い話でした。