私の会社の上司にK部長がいます。
これは、夏の暑気払いの時に部長と飲み聞いた話です。
K部長は東京都の出身でしたが、小学校の頃転勤で長野県に。
それから時は過ぎ、ご両親が亡くなりました。
遺言で墓は東京の青山霊園の方で頼むとありました。
ご両親の遺言と親戚との相談で霊園で墓を作り、それから毎年お盆の時期になると墓参りに行っているそうです。
2年前の事です。
K部長は夏、お盆休みに入る前に港区の青山霊園に向かおうとしていました。
しかし、息子さんが入院したり、業務上のトラブルで色々あり、結果一人で新幹線に乗り東京へ向かいました。
到着したのは15時くらいでした。
そこから墓に行こうとしましたが、電車の遅延や、タクシーが捕まらず、ようやく車が拾えたのは18時を過ぎてました。
タクシーに行き先を告げて向かいましたが、交通事故や渋滞でなかなか進まずに1時間半かかり到着。
あたりは流石に暗くなっていました。
K部長はホテルに戻る時間も考慮して、タクシーの運転手さんに再び来てもらうようにお願いしました。
しかし、「これから2件他のお客様のお迎えもあるから遅くなるよ。
とりあえずあなたの携帯番号教えてください。行くときに連絡しますよ。」
と運転手は去っていきました。
K部長は霊園に何とか入り墓まで向かいました。
人は2,3人しかいなくて部長は墓でお参りしたり、暗い最中墓を綺麗に洗ったり拭いたり色々としていました。
ふと気が付くと時計の時刻は20時17分になってました。
周りを見渡すと誰もいなくなっていました。
K部長は少し疲れて墓から離れようとしました。
その時でした。「う~、うん~」と女性のか細い唸る声が聞こえてきました。
K部長は周りに誰かいるのかなと思いました。
タクシーの運転手さんの連絡がきてないかスマホを取り出してみようとしました。
ポンとK部長の右手の二の腕辺りが何かに叩かれた感触がしたそうです。
それと同時に冷たい水を掛けられた感触を覚えました。
K部長が見ると二の腕の辺りがびっしょり濡れてました。
しかもシャツには白い手形の痕がくっきりありました。
少し怖さと驚きがあった部長ですが、「誰だ。いたずらするの!」と声を出しました。
しかし、周囲からは何も応答はなかったです。
周りをよく見てもやはり人はいません。
おかしいな。変だ。
と思っていたら突然スマホがなりました。
出ると、先ほどの運転手さんで「これから向かいます。後10分で到着します。」との事でした。
部長は安堵し青山霊園を出て運転手さんの言われる場所で待ってました。
すると10分しないうちにタクシーがやってきました。
タクシーに乗り後部座席に乗りました。
時刻は20時40分くらいでした。
少し疲れた部長は隣のシートに手を触れました。
「冷たい!」座るシートが氷水のように冷たく濡れてました。
K部長は驚いて運転手さんに止めてもらい確認してもらいました。
運転手さんは部長の所に行くまで年配のご夫婦と、
ビジネスマンのサラリーマンの男性を乗せただけですが、後部座席を降りた時確認しても濡れてなかったそうです。
タクシーの運転手さんは、
「ああ、いいよ。大した濡れじゃないから。この分だと乾きそうだし。でも、お客さん。
貴方何か連れてきたかもね。私も久しぶりにここに訪れたけど、以前も似たようなことやもっと怖い体験したことある。
時間があったらお祓いしておいた方がいいですよ。」
と聞いて部長はゾッとしたそうです。
それからホテルに戻り、直ぐシャワーを浴びようとして裸になったら、右腕の二の腕に赤い手形の痕がうっすら残っていて寒気を覚えたそうです。
次の日に戻り、近くの神社でお願いしお祓いしてもらったそうです。
それ以降何もなかったそうです。
あの日、霊園でK部長に触れたのは霊園にいた霊の仕業だったのでしょうか?そんな怖い話でした。