これは香川県西讃地区にある某病院のエレベーターで私が実際に体験した話です。
その日父親と叔父の3人で隣人のお見舞いへと病院に足を運びました。
数年前に増改築がされた事と時刻もまだ正午を過ぎた頃ということもあり、
建物そのものの雰囲気はかなり明るく、最近の病院は解放感みたいなのがあっていいなぁ!などと
3人で話し合いながら病室へと向かうエレベーターを探していました。
そしてエレベーターへとたどり着いた時丁度ピンク色の服を着た女性が中へ乗り込もうとしていました。
すみません乗ります!と父がエレベーターの搭乗ボタンまで駆け寄りボタンを押すと
閉まりかけていた扉がゆっくりと開きましたがそこには誰の姿も無く3人で顔を見合わせました。
今確かにピンク色の服を着た女の人が乗り込むの見たよな?との叔父の質問に
父と私も頷きやはりこのエレベーターに誰かが乗った事は見間違えなどでは無いとお互いに再認識し、
気まずい数十秒の沈黙の後に病室のある5階へと到着しました。
病院という生と死が混じり合う特別な空間だから起きたのか、
それともエレベーターという一種の外界と隔離された空間だから起きたものなのか、
はたまたその両方が重なり合って生み出した体験であったのか…
いずれにしても私達3人はこの後極度のエレベーター恐怖症となり
1人では絶対にエレベーターに乗る事ができなくなりました。
あなたが何気無しに病院のエレベーターで乗り合わせた人、
会話をした人は果たして本当にこの世の住人なのでしょうか?
それを知る由はどこにもありません。