私は三人姉妹の末っ子です。
姉二人は県外の学校に行っていたのでその当時実家にいるのは両親と私の三人でした。
ある日、二階にある子供部屋に一人でいるのは広すぎて寂しかったので隣にある両親の寝室とかえてもらいました。
一人部屋になり、喜んでいましたが寝る時間になりベッドに横になると階段から物音が…
怖くなり目をギュウっとつぶると、部屋の入り口から誰かに見られているような気分になりました。
早くいなくなれ!早くいなくなれ!
思えば思うほど体は動かなくなります。
早くいなくなれ!
最後の思いが声に出ていたのか、今まで声に出せなかったのかその声と同時に体が動くようになりました。
その日から毎日、階段から物音がするようになり徐々にその音は大きくなっていきました。
ドンドンという音が今度は階段を駆け上がるように、ドドドドン!と。
そしてその足音は必ず私の部屋の前に止まり、私の部屋に入ってきます。
一カ月ほど続いたある時から階段の登る音はするものの、私の部屋に入って来なくなりました。
それでも怖いので私はずっと目をつぶっていました。
そんな日が続いたのが一週間。
その次の日、なぜか足音がしなかったのです。
不思議な気持ちと良かったという気持ちが入り交じりながらその日は眠りにつきました。
翌日、普段通りに出勤し仕事を終えミーティング中に父が倒れたと母からの電話がありました。
震えながらも会社の先輩に病院に送ってもらい、着いたときには父はギリギリ命を繋いでもらっている状態でした。
その日、父は亡くなりました。
通夜、お葬式などでバタバタした日が過ぎました。
その時ふと気付きました。あれ以来、階段を登ってくる音がないことに。
きっと、あの足音は父を迎えに誰かが来たのではないかと家族で今も話しています。