1、父の転勤で引っ越し
私は当時関東で父と二人暮らしをしていました。
父は幼少期から霊感が強く、大人になるまでその事実は知りませんでしたが、私も実はよく見てしまい、どうやらこの力は父から遺伝してしまったようです。
一緒にいると不思議な事は良く起こったのですが、怖いという感覚は無く、自然と流せていました。
しかし、あの家に住んだ時は、家を見たその時から確かな違和感を感じていたのです。
2、木造二階建てのアパート
父の職場の上司が探してくれたという木造のアパートでした。
部屋は10部屋程あり、築年数はかなり古かったんですが、2Kという間取りと駐車場の安さで決めたそうです。
全て上司の方に任せていたので、実際私達が初めて家を見たのは、引っ越ししてきた初日でした。
一見、普通のアパートでしたが、私はとても嫌な感じがしました。
アパート全体から気持ちの悪い雰囲気がしたんです。
不動屋さんに案内され、私達は部屋へと案内されました。
一階の角部屋でした。
入った瞬間でした。
全身に悪寒が走りました。
「お父さん、ここって・・・」
「うん、あとで話そう」
大家さんもいたので、そこの部屋で、恐らく亡くなっている人がいたんでしょう。
赤ちゃんだと思います。
水子の霊が台所におり、入った瞬間に一気に感情をぶつけられました。
悲しい、と・・・(あとでお父さんが供養しました)
その時点で私は、この部屋が嫌いになりました。
3、異常化する住人達
住み始めて数か月経った頃でした。
昼間は二人とも部屋にいないので何が起きているのかわかりませんでしたが、まず気になったのは、深夜に響く大きな音でした。
まるで太鼓を叩くような大きな音が毎晩鳴り始めたんです。
音は隣の部屋から聞こえてきました。
苦情を言おうと思いましたが、それからしばらくして音は聞こえなくなりました。
元々交流は無かったんですが、どうやら引っ越したようでした。
そこも親子二人暮らしだったようですが、親子が突然精神的に異常をきたし、施設に入ったと聞かされました。
また、今度はその隣の家でトラブルがありました。
その部屋は若い夫婦が住んでいました。
ある夜、仕事を終え、自宅に着くとパトカーと救急車が止まっていました。
事情を聴くと、そこの旦那さんも気が触れて、包丁で奥さんを襲い、助けを求められた隣人が通報し、今回の騒動になったそうです。
もちろんその部屋も空き部屋になりました。
立て続けにおかしなことが起こり不安になりましたが、父もいたので少し余裕がありました。
4、奥さんはどこ?
それからはトラブルも無く、割と平穏な毎日を過ごせていたんですが、
ある休みの日、それは私がスーパーに買い物に行った帰りでした。
二階のおばさんが玄関先で花をいじっていたので、軽く挨拶をしました。
向こうも挨拶をし、話しかけてきました。
他愛もない世間話だったんですが、変な事を言われたんです。
「そういえば最近、奥さん見かけないけど、お元気?」
奥さん?誰の事だろう?と思ったんですが、
うちには女性はいないことを伝えると、凄く不思議そうな顔をしていました。
5、父の決意
とある晩、父から突然引っ越しをしたい旨を伝えられました。
いいけど、突然どうして?と伝えると、家では言えないらしく、場所を変えて居酒屋に行きました。
そこで父は重い口を開き始めました。
「大丈夫だと思ったけど・・・気付いてないかもしれないけど・・・お前、憑かれてるよ」
え?と思いました。
そこで二階のおばさんの話をしました。
すると父は深く納得したようで、父曰くその女性は、あの建物自体にいたようで、
男性に酷い恨みを抱いており、男性が来ると、憑くらしいのです。
立て続き起きたトラブルも関係性があると父は言いました。
そして次は私なんだそうです。
最初は父も払おうと色々やってくれたみたいですが、どうしても離れず、最近は毎夜枕元に立ち、
「一緒に行こうよ」
と言い続けているらしいんです。
それでも父の話が信じられず、疑っていた父が言いました。
「もうあのアパートに男性は誰もいないんだよ・・・あんなに部屋があるのに・・・」
そして私は引っ越しを決意しました。
事故物件ではないけれど、居る場所って本当にあります。
対処の使用が無いのも事実ですが、そのアパートは今でも残っているようです。
男性の方はご注意ください。