・怪談を知らない10歳
私の地元の福岡県には『犬鳴峠』という怪談があります。
インターネットで調べると上位に出てくるほど有名な話ですが、
私が10歳くらいの頃、夏休みに近所の人たちと一緒にキャンプに行っていました。
そして近所のおじさんが『犬鳴峠を通る途中、もしかしたら心霊現象が起こるかもね』と笑いながら話していました。
これが犬鳴峠と言う言葉を初めて聞いた瞬間でした。
そのときは、事故が多発する場所だから幽霊やお化けが出るんだろうくらいの気持ちでした。
私たちが犬鳴峠のトンネルにさしかかったとき、私は友達と懐中電灯で遊んでいました。
そしていきなり懐中電灯の明かりが消えました。
しかし実際に何かを見たわけではないので、私たちはお化けが出たと馬鹿みたいに盛り上がっていました。
キャンプの間も特に問題はなく私はその怪談についてすっかり忘れてしまいましたが、
私が大学生になったとき再度思い出すことになりました。
・怪談を理解した20歳
私は大学生になり実家を出て一人暮らしを始めることになりました。
私は小学生の頃に比べて、怪談に対して過度に嫌なイメージや感覚を持つようになりました。
このときはこの原因がなぜかはわかりませんでした。
友人がサークルのメンバーと犬鳴峠の旧道に行くという話を聞いて、背筋がぞくっとしたのを覚えています。
現在は封鎖されていて立ち入ることのできない犬鳴峠の旧道は、まだトンネルを建設する技術が乏しかった時代、
木製の柱では耐久性が足りないということから人間を柱にしてトンネルにするという技術で人柱(ひとばしら)と呼ばれていました。
ただ、私が知っている話はたったのこれだけです。
しかし、特に霊感などを感じたことのない私が、幼い頃に犬鳴峠に行き、
そして大人になり再び犬鳴峠と関係を持ち、それからは何らかの事故や事件が起こった場所に近づくと
悪寒が止まらない体質になりました。
お正月に冗談で両親にこの話をしたところ、両親は私が3歳くらいの頃にいつも壁や、
空中に向かって丁寧に挨拶していたと話してくれました。
そして私の大好きな祖母も私と同じような体質らしく、毎日神棚へのお参りを欠かさないそうです。