私は廃墟が好きです。
テレビで放送されている心霊番組も馬鹿にしているほうですから、
心霊体験をしたいとかそういうんじゃありません。
日本全国の廃墟を写真に撮ってSNSで公開する、所謂廃墟マニアってやつです。
■横須賀市の廃村、田浦住宅街へ
今年の夏、神奈川県横須賀市のとある廃村、田浦住宅街を訪れました。
ここは謎多き廃村です。
1997年からこの辺り一帯を再開発する「湘南田浦ニュータウン」計画があったそうです。
しかし、住人が立ち退いた後、その再開発の計画が何故か白紙になったようです。
現在も住宅だけがそのまま残されており、誰もいないゴーストタウンと化しています。
どの家も家具や日用品、アルバムなどが置きっぱなしで、忽然と人だけがいなくなってしまったようなのです。
見たところ開発予定地だったようですが、強制退去させられたにせよ、
引っ越しの準備期間も与えられず突然出て行けなんていうことがあり得るでしょうか。
■男性に遭遇
私は一つ一つの家にそっと侵入し、まるで神隠しにあったかのような家を写真に収めていました。
すると、私がある家から出てきた時、道の一つ向こう側に初老男性の姿が見えました。
綺麗なシャツを着て上品な杖をついた、髪の白い男性です。
まだ住んでいる人がいたのかと驚いていると、
男性は私の方を向いてにっこりと微笑み、そのまま奥の道へ歩いていきました。
廃墟に侵入しているのが見つかると怒鳴りつけられるのが通例なので、今回はラッキーでした。
■消えた男性
私はすぐに、まだ生きている住宅を確認するため、男性の後を追いました。
男性の進んだ道の両端には、廃墟となったボロボロの家屋が並んでいます。
男性の姿はありません。
男性が進んでいった方向へ更に奥へ進みましたが、
道は行き止まりで、どう考えても人が住んでいるとは思えない廃墟が佇んでいるだけです。
物音もしません。
蝉の鳴き声が規則的に響いていました。
どこにも行き場はないはずなのに、
男性はすっかり姿を消してしまったのです。
※現在この田浦住宅街は、国の指導により侵入禁止となっていますので、訪問の際は自己責任でお願いします。
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