私が小学6年生の頃に体験したお話です。
当時私には老人ホームにいる母方のひいおじいちゃんがいました。
その頃、ひいおじいちゃんは気管支の病気で私たちが老人ホームに行くといつも、長いチューブをつけており、もう先はながくないのだろうという状態でした。
ある夏の日、小学校に行きいつもどおりに授業を受け、お昼を食べようとしているところ担任の先生に呼び出されました。
教室から廊下に出ると「お母さんが来ているから、荷物をまとめなさい。」とのこと。
いつもなら仕事中の母の急な迎えに戸惑いながらも、ランドセルに自分の荷物を詰めて玄関に向かいました。
玄関には母の姿があり、後ろには車と父の姿がありました。
どうしたのと聞くと母は、「ひいおじいちゃんが亡くなったから、これからおばあちゃんの家に行くの。」と言いました。
そのまま車に揺られて祖母の家に向かいました。
祖母の家に着くと、一度荷物を置きそのまま葬儀場に行きました。
葬儀場には母方の親戚の叔父や叔母、従兄弟に祖父母、健在のひいおばあちゃんがおり、私たち一家もその一列に並びました。
葬儀はとどこおりなく終わり、私はひいおばあちゃんのもとへ行きました。
いつもひいおばあちゃんはひいおじいちゃんに対して、あたりが強いというか厳しかったのですが、私の手を震えながら握り、「よくきてくれたね、○○(私の名前)。」と背中を丸めて泣いていました。
葬儀が終わる頃はもう夕飯の時刻で、私たちは葬儀場でご飯を食べていました。
しかし、小学生のためすぐにその場に飽きてしまい、私は従兄弟と共に葬儀場のエレベータで遊んだり、祖父がやっている真似でひいおじいちゃんに線香をあげたりして祖母の家に帰るまで過ごしていました。
祖母の家に帰ると、私は疲れからすぐに寝てしまいました。
その日に見た夢なんですが、不思議と今でも覚えています。
夢の中で、私は同じく葬儀場にいました。
夢の中でも昼に行った葬儀をしているのですが、何か違う。
ひいおじいちゃんが生きているのです。
従兄弟と話していても、後ろに黙って立っている。
母や父といてもただ後ろに立っている。
私はとうとう幽霊だと思い、「ひいおじいちゃんがいるんだよ!!死んでるんだよ!!」と叫びました。
しかし、その声だけは聞こえていないのか、誰に話しても何言ってるんだと首をかしげられるばかり。
私は恐ろしくなり、「死んでる!死んでる!」と叫びながら一人廊下まで走りました。
振り返ると、そこにはひいおじいちゃんがぽつんとたっていました。
私は「死んでる!お化けだ!」と叫ぶとひいおじいちゃんは
「わかっとるわ!うるさい!人がせっかく来たのになんだそれは!」と怒鳴りました。
私はそのままふっと目を覚まし、今まで怒鳴られたこともなかったためしばらく呆然としていました。
翌日の葬儀の際、祖父がぽつりと「なあ、ひいじいちゃんの夢みた。」と言いました。
私も見たというと、「ひいじいちゃんは死んだんだよって言ったら、そうかって消えたんだけどね。」と言われました。
今考えると、最後に線香をあげたお礼をしにきたのではないかと思います。
それもわからず、死んだ、お化けと言った私に対して怒ったのでしょう。
もう少し良い対応をすれば良かったと後悔しています。