その頃私は単身赴任中、東京で勤務をしていました。
単身赴任ということもあり、仕事が終わると同僚から食事に誘われることもしばしばありました。
お酒はどちらかというと弱くはない方なので、泥水することはありませんでした。
その日も、同僚と食事を兼ねてお酒を飲み、帰途につきました。
住まいは会社が買い取っているマンションで京葉線新浦安にありました。
部屋まで帰ってきた私は、やかんでお湯を沸かし、ポットに移して寝る準備をしました。
これは、いつもの光景です。
ベッドに横になった私は、ほどなく眠りにつきました。
どのくらい寝たのでしょうか、お腹の上に何やら重みを感じ始めました。
その重さは徐々に増していきます。
とうとう堪え切れなくなった私は目を覚ましました。
思わず叫んでしまいました。
「おまえは誰だ!」
そこには私のお腹の上に乗った状態で、私の方を見て笑っている着物姿の子供がいたのです。
私が起きようとすると、少し後ずさり、私の上半身が起き上がった状態になると、その子供は笑いながら遠のき徐々にその姿を消してしまったのです。
想像もできない出来事に私は呆然として、暫く上半身を起こしたまま身動きができませんでした。
その後、私はベッドから起き上がり部屋の中を探してみたのですが、子供を発見することはできませんでした。
翌朝、私は出勤のためマンションを出ようとしたところ、管理人さんに挨拶をされたので、昨夜の出来事を話してみました。
しばらく二人の間には間ができました。管理人さんはおもむろに口を開き、「やっぱりまた出ましたか」。
話を聞いてみると、同じ部屋で私の前の住人も同様の経験をされたということでした。
後に知ったのですが、その子供は「座敷童」だったのではないかということです。
「座敷童」は主に秋田県に伝えられる精霊的な存在で、家人に悪戯をしたりするけれど、見た人には幸運が訪れると伝えられているようです。
その後、幸運が私に訪れたかどうかは自信がないですが、私にとっては世にも恐ろしい体験でした。

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