まだ中学生時代、みんなでテントを張って寝ようと提案し、
新城方面に湯谷温泉方面近辺まで自転車で2時間くらい走り、テントを張りました。
今思えばおかしな思いつきの行動でしたが、当時はそんな短絡的な行動も面白くて、
よくつるんでやんちゃなことをしていました。
川沿いで、うえには道路という場所にテント4つ張って、
男女4人ずつそこで夜を明かした、それだけのことなのですが、
その場所には
「幽霊がでる」らしいという噂があり、
自分達はその噂が本当かどうかを確かめてみよう、
というのが当初の目的でした。
しかし、その夜は仲間と一緒にいたこともあり、もう2時間以上も走った疲れもあって
そんなことはすっかり忘れて寝転んでいました。
そろそろ眠気が差してきた頃、テントがぐわん、ぐわんと感じるくらいに揺れました。
たぶん皆もそれを感じたと思いますが、まぁ、多少の風はありますから特に誰も、何も言いませんでした。
と、次の瞬間、今度はテントの4方面から
「ぎゅっ!」と押されているような衝撃を感じました。
「おいおい、だれだよ、いたずらすんな!」と誰かの声がして外に出たやつがいたのですが、
自分達は勿論テントの中。
それよりそのテントでも同じことが起こっていたことを知り、びっくりしました。
聞くと、4つのどのテントでも同じように揺れたり、抑えられたりした感じだった、というのです。
それぞれのテントから代表して一つのテントに集合し、
確認に行った自分達は今度、恐怖から出れなくなってしまいました。
周囲のテントでは、不安な声が漏れ出します。
そして、まだこの恐怖体験は続きました。
眠れないまま朝を待っていた自分たちの耳に、鈴の音が聞こえてきたのです。
「チリン・・チリン・・」そして、その音色は次第に強くなってきます。
そして、自分達のテントの前で音色はぴたっと止まりました。
たまらず勇気を出してテントから飛び出した友人が見たのは、
ぼや~っとした、幻のような人影だったというのです。
即効テントに戻った友人からその光景を聞いた直後、
異常な緊張感が周囲のテントにも伝わり、女の子は泣き出し、自分達も恐怖で凍りつきました。
朝を待って急いで来た道を引き返して以来、もう、二度とあの場所に行くことはありませんでした。