1.周辺の実情
安濃ダムは三重県津市芸濃町に流れる、安濃川の上流に建設されたコンクリートダムです。
それにより出来上がた湖は錫杖湖(しゃくじょうこ)と呼ばれています。
周辺には宿泊施設やキャンプ場、ふれあい公園などがあって、昼間はランニングや釣りを楽しむ人々が訪れ、季節によっては桜や紅葉が美しい景色を作り出す場所です。
しかし現在、観光地と呼べるほどの賑わいはなく、錫杖湖周辺に二か所設置されているトイレは両方とも壊れていて、公園にあるローラー滑り台は新しい安全基準をクリアできずに使用不可となっています。
その他外灯が壊れていたりと、どこか寂しさを感じます。
少し離れた所には寺や墓地もあり、夜になると今度は不気味な雰囲気が漂い始めます。
2.水と魂の溜まり場
ただでさえ水辺には彷徨える魂が集まるといいます。
その上、この場所には女性の白骨死体が発見された未解決事件を始めとして、台風で流されてしまった母子や、練炭自殺を図った遺体が見つかるなど、痛ましい記憶が刻まれています。
それらが周辺の雰囲気と相まって、安濃ダムは三重県のホラースポットの一つとなっています。
いくつか噂はありますが、一番有名なのはトンネルに出る女性の霊です。
トンネルを車で走っているとエンジンが止まったり、女性の叫び声が聞こえるというものです。
3.三つのトンネルと一つのトンネル
津方面から42号線をずっと走っていると錫杖湖の横で、宝並、大谷、笹子と名のついた三つのトンネルを潜ります。
これらが噂のトンネルだと誤解されていることもありますが、この三つは大きくて電気も通っていて明るく、車もよく通るので実は違います。
噂のトンネルは湖を挟んで向こう側の道にあり、周囲が木々に囲まれていて鬱蒼とした所にポツンとあります。
川向と名付けられたこのトンネルは車で対向するのが難しいほど道幅が狭く、案外短いものです。
それでも電気がなくて昼間でも暗く、充分雰囲気があります。
叫び声とは、誰かに助けを求めるためにあげるものです。
永久の苦しみから救い出して欲しくて、ドライバーに縋ろうとしているのかもしれません。
