私の会社にWさんという方が居ました。
とても私に仕事での指導や信念、生き方を教えてくれた人で私より若いのですが出世して今別の支店で活躍されてます。
先日、私は仕事の研修でWさんと久々にお会いし、話し研修後飲みに行きいろいろ話をしました。
その中で昨年の2月に出張でWさんが怖い体験をしたと真顔で語り始めました…
2月の下旬、Wさんは北海道に出張に行きました。
私がWさんの代わりに仕事を担当した覚えがありました。
北海道の支店の業務の内容やシステム、今後の時代の流れに対応した訓練を受けてWさんは終えました。
帰る日は飛行機のフライトが午後15時でしたので、Wさんは空港内を散策してました。
新千歳空港で飛行機に乗るまで、ターミナルを見たり食べ物のグルメを堪能したり自由な時間を過ごしていました。
人もそれなりに多く空港の雰囲気を楽しんでました。
外は結構雪が降っていましたが気にせずに動いていたそうです。
Wさんは空港内を周りふと気づきました。
人混みの多い中で黒髪の長い顔の隠れた女性が一人いることに…。
最初は気のせいかと思ってましたが、何故か自分の後ろの方、脇の方にいつの間にか居る。振り向くといない。
しかし、再び動いたり他の場所に行くと女性の姿が鏡に映ってたり、自分の後ろの方にいたりして流石のWさんも気味悪くなりました。
女性の姿はやはり顔が隠れていて見えない…。
Wさんは次第に急に気持ち悪くなりトイレに行って吐きました。
腹も下して何か変だと思いました。吐いたのは直ぐ収まったみたいですが、お腹の痛みが激しくフライト30分前になりました。脂汗が額に浮かび体も重くWさんはやっとトイレから出てきました。
その時トイレにはWさん以外誰も居ませんでした。
洗面所に行くとWさんの後ろに黒髪の長い女性が鏡に映ってました。
黒髪の女性は手のひらを向けて何か止めるようなそぶりでした。
Wさんは怖くなり振り向くと女性の姿は全くありませんでした。
Wさんは飛行機の時間が近づいてきました。
ですが体調も思わしくなくゆっくりと歩いて何とかギリギリゲートに入り乗りました。
雪の降る中離陸できるかなと思い席についてぐったりしてました。
飛行機は出発しません。やがてアナウンスがなり飛行機から降りてくれと指示が来ました。
Wさんは何のことか訳が分からないままフライトアテンダントさんの指示でおりました。
何と乗るはずだった某航空会社の飛行機のボーイングの片側のエンジンが雪の影響で故障したとの事でした。
Wさんが飛行機を出た際はなにか焦げ臭いにおいがしたそうです。
その後別の飛行機で帰りましたがWさんの体調はすっきり嘘のように回復したそうです。
後日Wさんは実家に行ったときに気づいたそうです。
空港でくっついて鏡にも映った女性。それは実家のアルバムを見たときに同じような女性の姿の写真がありました。
それは数年前に亡くなられたWさんのお母様の白黒の写真。
その写真にはお母さんが髪を肩まで伸ばしふざけて顔を隠した写真の姿と瓜二つだったそうで驚きを隠せませんでした。
Wさんもあとからニュースで自分の乗る飛行機の事を知り、「もし飛行機に乗っていれば、飛んだ後にトラブルあれば大惨事で俺もこの世にいなかったかも。ひょっとしたらお袋が何かの暗示。助けてくれたかもしれない。」とお酒を飲みながらWさんはしみじみと語ってくれました。
私もWさんが嘘を言う人でないのは仕事で分かってますので、きっとお母様がWさんを救うために現れてくれたかもしれないなと話を聞いて思いました。
