これは先日会社の後輩のB君から聞いた話です。
彼は2年前の冬でした。軽井沢で友達の結婚式に出席しました。
そのまま軽井沢で泊まろうとしましたが、ホテル代も高く、その時ちょうど山梨県の方で大量の雪が降り、道路も通行止めと除雪ができなくなりました。
車も動かず、列車も止まりました。
彼は長野市にいる友達の所に泊まることにしました。
まだそちらの方が雪が少なく、何とか新幹線で帰れると判断したからです。
B君は友達のU君の家に泊まりました。
彼は年末休みもなく、年明け休みでしたが、体調不良の者とイレギュラーな事件や仕事等がありそれに対応するために休みを返上し仕事しました。
その分の休みを少し眺めにもらい、B君は長野市を観光することにしました。
U君は仕事でしたので夕方帰ってくるまで、長野市内の街で食事したり、
書店に行ったり、スロットしたり色々と過ごしてました。
B君はふとお母さんから善光寺のお守りや写真を撮ってほしいと言われて買ったり、善光寺を見たりしてました。
平日でも人が多く、信州の壮大なお寺に感動したそうです。
やがて夜になり、U君が帰るときに電話が入るので、それまでまた街中で漫画喫茶に行ったりファミレスで食事したり時間を潰してましたが、夜20時になっても連絡がありません。
やがてLINEで「残業になる。悪いが仕事終わりが23時。それまで風邪ひかない様にファミレスや居酒屋で飲んでて。」との連絡が来ました。
B君はどうしようか困ってしまいました。
夜で冷え込んで路面も凍ってきてました。
U君が帰ってこないと家に入れませんし悩みました。
B君はふと、食べたり運動不足を解消するために昼間に行った善光寺に行こうと決めました。
バスは既に終わってました。
雪がちらつく中、滑って転ばぬようにゆっくりと歩きました。
街から歩いて約20分くらいだったそうです。
最初は寒かったけど段々体が暖かくなりちょっと汗ばんできたそうです。
冬であまりすれ違う人もいなかったそうです。
B君は何とか善光寺に着きました。
階段を上がり、門の所に行きましたがもちろん閉まってました。
彼はスマホで夜の善光寺を取ってお母さんに送ったりしていたそうです。
その作業を終えて帰るときに両脇に土産物屋が並んでました。
もちろん土産物屋も閉まっていて辺りには誰も存在しません。
ちょっと寂しさを感じながらB君は進んでいきました。
途中でキーという何かを引っ掻くような音が耳に入ってきました。
音のする場所はとある土産物屋でした。
土産物屋さんのガラスをふと見ました。
お店は真っ暗で何も見えませんでした。
が、ガラスにB君が映ってましたが、それ以外に別の物が映っていたのです。
ぼんやりと白い人間のような輪郭でした。
B君はドキッとし振り向きました。誰か人が居たのかなと…。
ですが誰もいません。
再び土産物屋のガラスを見ると今度は何かは映ってませんでした。
おかしい、変だなと思いながら気を取り直し、ふと反対側の土産物屋のガラスを見ました。
するとガラスには白い女性の顔だけが映ってました。
しかも、ニヤリと笑った表情で。
中年の女性の顔でした。店の中にも人が居ません。
素早く振り返りましたが、やはり誰もいません。
B君は急に冬の寒さとは違った寒気と恐ろしさと、胸が気持ち悪くなり全力でその場を走り去りました。
とにかく後ろを振り向かずに全力で長野駅まで猛ダッシュで心臓が破裂しそうな勢いで力の限り走りました。
長野駅は煌煌としていて明るかったです。
ようやく人が居てホッとしたそうです。
それから程なくしてU君から連絡が来て家に戻りましたが特に何もありませんでした。
B君は言います。
「ガラスに映った女性の顔が不気味でした。しかも歯が前歯が鋭く尖っていて長くてしかも、お歯黒みたいに黒かった。あれで笑っていてもう腰が抜けそうでした。」
と会社の飲み会で各人体験した怖い話というお題で教えてくれました。
B君が夜の善光寺で見たのはなんだったのでしょうか?
彼に何度も確認しましたが本当に冬のその日誰も周りには居なかったそうです。
そんな夜の恐怖体験でした。