むかしの悪霊か、悪漢か…。【鹿児島県鹿屋市】

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母はひとり暮らしでそれでもだいぶそれに慣れてきたと

いいます。隣に弟夫婦が住んでいるのであまり生活にも

不自由もなく、老後の大切な時間をのんびりと暮らして

います。

ただ、ときどき何をとり間違えたのか、思ってもいない

訪問者があります。

それらは、台所の裏口の扉から何かの合鍵を使い堂々と

入ってくるので面倒です。

そのため、訪問者があるときには玄関のライトがぱっと

つくように仕掛けをしてみたのでした。

あるとき、母がもう横になって休んでいるときでした。

台所から何やらひとりごとと鍵をあける音がするではあ

りませんか。

母親は寝ているフリをしていましたが、鍵を開けてくる

とはけしからぬやつです。

母が耳を澄ませていると、その悪漢は何やらつぶやきな

がら入ってきます。それは、自分はここの祖先の敵で

むかしの仇討をしにきたというような話です。

そして、まだ耳を澄ませていると、この男のほかにも誰

か外にいる感じがします。

このようなことは滅多にはあるものではないですが、家

に鍵がなかったら、あるいは外に同じ鍵をもっている人

間がいたら平野に寝そべっているのと同じだということ

です。

弟が気がついたのでしょう。もう、みんなが寝ている時

間帯に、母のいる家の外灯がぱっとついたから。

人が敷地に入ってくると、ぱっと電燈がつくアレです。

弟の家にもセンサーが反応してわかるようになっていま

した。

男は家に入る前に弟に獲り抑えられてしまったのでした


首ねっこを捕まえられて逃げようとする不審者はあば

れまくります。

弟は脳天にいっぱつ、背中に横蹴りとこちらの方がやら

れないように不審者に殴りかかっていきます。

なぜなら、男は手に光るものを持っていたからであって

、油断もできなかったのです。

運よく弟の方が体格もよく、見たからに巨漢でした。力

も強くすぐに取り押さえたのでしょうが、男の持ってい

る刃物でしょうか、男は自分の横腹かどこかを傷つけて

しまったみたいです。

出血してしまった男は地面に倒れ込みながらぐったりと

なってしまいました。

光るものを手から取り上げると、弟は入口のところの低

木でも太い木に男をくくりつけたのでした。

運よくケガもなく、その男を獲り抑えることができたの

でした。

その男というのは、中年で何かしら仕事にもあぶれた風

体の人間でした。

ただ、薄くらい台所の入り口の外には、もうひとりの小

柄な男が潜んでいたのです。こちらに向かってくるでは

なく、忍び足で逃げようとしていたところでした。

「うまく、木に男をくくりつけることができた」と思う

か思わないうちにも、もうひとりの男は外へと掛けだし

ていったのです。

ヘトヘトになりながらその男と格闘した弟は、今度は目

でふたり目の男を追いかけます。

車が道路のどこかへ隠してあるのでしょう。エンジンの

音がしたかと思ったら、すぐにその音は消えてしまった

のです。

そのふたり目の男がどこへ走り去ったかというと、そこ

は国道沿いにある交番でした。

その男は、交番の寝ていた駐在を起こして何やら説明し

ています。その声は震えて何やらとても怖がっている感

じでした。

「本当なんですよ!僕らが道を歩いていると、あそこの

家から巨漢が出てきて家の中へと引きずり込んだ!もう

ひとりはやられてしまってあの家にいる。」

駐在がその男の名前と住所を聞いているにもかかわらず

、自分がどうして駐在所に走りこんだのか、ということ

を一生懸命説明しているのでした。

もちろんそれは嘘であって、男の名前や住所も疑うもの

ばかりです。駐在が「わかった、わかった、それではそ

の引っ張りこまれた家というのにいっしょに行ってみよ

う」と言ったときでした。

弟が不審者があったと駐在まで届けにいったのでした。

弟は駐在とは少し顔見知りでした。ふたり目の男は弟と

目を合わせると驚いていた感じでした。

しかし、ふたり目の男が駐在所に行った訳は単に助けを

求めにいったのではありませんでした。

駐在とふたりならきっと男は、駐在から拳銃を取り上げ

ていたかもしれないのです。

ブルブルと震える男。予想もしなかった男たちの行動が

台所の裏口のところで、弟に獲り抑えられるとは思って

もみなかったのでしょう。

弟とふたり目の弟の顔をかわる変わるに見つめながら、

「何があったのか?」と駐在がうさんく臭く質問します

「お前のウチだったのか?」と弟に目くばせすると、今

度は不審者がまだ木につながれているだろうから、行っ

てみようといいます。

もちろん、不審者は警察に引き渡すことになるだろうと

家まで引き返してみるのですが、木につないでおいたは

ずの不審者はもうそこにはいなかったのでした。

暗い中で庭の地面を見てみると、それはあの男でしょう

か、身体を引きずったあとがくっきりとついていたので

した。

誰かが、ケガをしていた男を道路まで引きずり車に乗せ

ていったみたいでした。

「そういうことは、もうひとりの男がいたのか?」

警察では母の家に侵入された側の弟が、今度は家の敷地

に引きずり込んだ方の立場となり、とてもさんざんな目

にあったということですが、それ以上のこともなくケガ

もなく母も危ない目にも合うこともなく本当によかったです。

でも、よく調べてみるとあの悪漢のふたり連れは本当は

二人連れではなく、それぞれ別々だったようです。老人

の一人暮らしは本当に心配なことも多いのですが、もし

何かあったときには警察に届けるのが一番みたいです。

また、あのケガをした不審者を引きずっていった男(女

性では身体が重たく車に乗せるなどできない)も、毎日

その辺をうろついている不審者で別に数人で行動してい

たわけでもないみたいでした。

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