私は父が霊感が強いせいがあり、
遺伝なのか小さい頃から不思議なものを視たり、体験することが多かったです。
これは私が当時父と一緒に目黒に住んでいた時の話です。
住んでいた場所は完全な住宅街でした。
駅から一本道に様々な商店街があって大変住みやすい場所だったんです。
私は田舎育ちで、心が乱れた時はどうしても緑に触れたくなる傾向があります。
その夜もそれがきっかけでした。
その夜は何故か胸騒ぎがして眠れませんでした。
住宅街の真ん中に緑なんてあるわけがありません。
しかし、そういえば近くに公園があるというのを聞いたのを思い出しました。
インターネットで調べてみると歩いて10分位の所に公園があったので行ってみることにしました。
それが林試の森公園です。
夜の公園と聞くと不気味な感じがしますが、
私は幼少期からの慣れかあまりそういう場所に雰囲気だけで恐怖を抱くことはありませんでした。
公園には結構立派な木が何本も立っており、林のような感じになっていました。
街灯もあるので、私はコンビニでビールを買って、ベンチで少し気を静めることにしたんです。
最初は夜風に吹かれる木々の葉の音が心地よかったんですが、
異変に気が付いたのはビールを半分くらい飲んだ時でした。
確かに夜風に紛れながら人の声がしたんです。
時間は0時を回っていたのですが、こんな時間に人がいるのか・・・と少し不思議なくらいでした。
その時です。
強烈な鳥肌が立ち、背中が猛烈に痛くなりました。
これは私の中で近くに霊がいるサインなんです。
何とか動こうとしたんですが金縛りになったように足が動きませんでした。
仕方ないので、心を持って行かれないように気を静めて、霊が落ち着くのを待つことにしたんです。
すると通りの向こうから、人が歩いてきました。
結構長い道だったので、誰かは判別できませんでした。
やっと見えるくらいのところまで来た時、私は焦りました。
迷彩というか恐らく軍服を着た男性が歩いてきたんです。
直感で分かりました。
あの人は生きていない・・・
どんどん私に近付いてきます。
恐らく向こうも私が視えていることに気が付いているはずなので、目を合わせないように下を向いていました。
そうしているうちに、いつの間にか足音が消えていたので、やっと行ったかと頭を上げたその時でした。
その男性は目の前にいたんです。
完全に目が合ってしまいました。
しばらく無言で見つめ合っていたんですが、
その男性が頭に直接話しかけてきたんです。
「あなたじゃない」
そしてそのまま去っていきました。
私は急ぎ足で自宅に帰りました。
正直霊なんてどこにでもいます。
彼の探し物はいったい何だったのでしょうか?
私の場合、背中が痛む霊は良くないものなので、きっと彼は探し物が見つかるまであの公園にいると思います。
でもこの公園、心霊スポットじゃないんです。
廃墟だろうが、トンネルだろうが、新築マンションだろうが霊はどこにでもいるので、、
その霊を怒らせないことが一番肝心です。
仮に怒らせてしまうと、そこはきっと心霊スポットと呼ばれるようになるでしょう。