頻繁に怪奇現象が起こる病院
介護士として病院に勤めていた母から聞いた話です。
痴呆症の患者さんが多く入院しているその病院では、怪奇現象や幽霊話なども多くあったそうで、
死期が近づく患者さんは「何かに憑りつかれている!」と言い始めることがよくあったそうです。
そして、母もまた患者さんに覆いかぶさる黒い影を目撃したことがあると語っておりました。
今回はそんな病院で起きた、母の同僚Aさんのはなしです。
勤務中に行方不明となった同僚
母と共に夜勤をしていた同僚のAさんが、なんの前触れもなく突如として行方不明になってしまったのです。
家族や上司へ連絡し、警察にも捜査をお願いしました。
一緒に勤務していた私の母も、仕事を終えてからも必死で辺りを探し回りました。
介護の仕事は精神的にも肉体的にも辛いものです。
仲の良かった患者さんが亡くなってしまうことなども頻繁にあります。
Aさんも心の奥底で悩みを抱えていたのかもしれないと、休みだった仲間たちも心配して、捜索に加わりました。
変わり果てたAさんの姿
必死の捜索の結果、Aさんは近所の畑で発見されました。
ですが、その姿は普段のAさんとは思えないほど異様な姿でした。
四つん這いになり、泥まみれになりながら土に穴を掘っていたのです。
周囲の呼びかけにも、犬のような唸り声を上げるばかりで人間の言葉などまるで通じない様子だったようです。
Aさんは仕事の疲労から気が狂ってしまったのかもしれない。
彼女の両親がかけつけ、彼女を引き取ってもらってから仲間たちの間ではそんな事が囁かれておりました。
ですが、数日がたち院長の元に届いた知らせはそうではありませんでした。
なんと、Aさんが奇行に走ったのは狐に憑かれていたからであり、お祓いをしたからもう大丈夫との連絡が両親からあったのです。
そんな馬鹿なと誰もが思いましたが、何かと不思議が絶えない場所ですので、
院長も「まぁ、そんなこともあるよね、ここ田舎だし」と言って彼女の復帰を許可しました。
Aさんに当時の記憶はないらしく、1週間ほどで復帰しましたが、以前と変わらずテキパキと仕事をこなしていたそうです。