これは、私がパートで働いていたクリニックの看護師さんから聞いた話です。
その看護師さんの以前の職場である病院で、彼女が体験したという話です。
・雪駄を履いたおじいちゃん
彼女は当時、重病でもう後はお迎えを待つばかり、という患者専門の病棟に勤務していた時のこと。
もう意識もなく、横たわるだけのおばあちゃんが入院していたそうです。
ご主人であるおじいちゃんは、しょっちゅうお見舞いに来ていました。
仲のいいご夫婦なんだろうな、と、誰もが思ってたそうです。
そのおじいちゃんはいつも雪駄を履いていて、おじいちゃんがお見舞いに来ると、
足音だけでわかり、「今日も来てるなぁ」と微笑ましく思っていました。
・夜のお見舞い?
彼女が当直をしていた時、雪駄の音が聞こえてきました。
もう面会時間は過ぎてるけど、お見舞いに来たのかな?と、
ナースステーションからちょっと様子をうかがったところ、
おばあちゃんの病室に入っていく雪駄の足が見えたそうです。
おじいちゃんはしばらくお見舞いに来ていなかったので、
彼女はおじいちゃんのお見舞いをそのままにし、ナースステーションに戻りました。
・次の日・・・ご家族がお見舞いに
数日後、おばあちゃんのお見舞いに、お子さん家族が来たそうです。
そこで彼女は、「昨日の夜、おじいちゃん久しぶりにいらっしゃいましたねえ」と話しかけました。
すると、お子さん夫婦が「え・・・」と凍り付いたそうです。
「それ、本当ですか?」と。「ええ、いつもの雪駄を履いていらっしゃいましたよ」と答えたところ、
「実は・・・おじいちゃん、この前亡くなったんです。葬儀も済ませました」との返事。
彼女はとても驚きました。
でも、夜だから暗くしていたので気にしなかったけど、よく思い返してみたら、
見たのは雪駄を履いた足元だけ。
おじいちゃんの顔は見ていなかったんです。
・その日、おばあちゃんが・・・
さらに驚くことに、その次の日、おばあちゃんが亡くなりました。
もう意識もなく、いつ急変してもおかしくない状態ではあったそうですが、
雪駄を履いたおじいちゃんの足を見た次の日に亡くなったおばあちゃん。
とっても仲のいいおしどり夫婦だったそうなので、
看護師仲間の間ではおじいちゃんがお迎えに来たのかな、
おばあちゃんが追いかけたのかな・・・という話になったそうです。
彼女は全然怖くなかった、と言いました。
いい霊は怖くないのよ、と。
確かに、そうなのかもしれません。
心霊現象かもしれませんが、私にもちょっと素敵なご夫婦のお話に聞こえました。