お盆は、いつも東北の実家に帰っていましたが、
その年だけはお盆過ぎに帰省した時の話です。
実家では8月15日に送り火をします。
その日私は埼玉のアパートの部屋にいました。
仕事を終えて夜中0時頃に布団を敷いて寝付こうとした時です。
台所と居間の間のガラス戸がカタカタカタっと動いたので、地震かなと思い起きようとしたときです。
体が動きません。金縛りです。
ガラス戸はまた鳴りだし、さっきよりも音がカタカタカタからガタガタガタともの凄い勢いで大きな音が鳴りました。
地震じゃない、金縛りにあってるし、ポルターガイスト?
音は全然止まりません。
こんな状態になれば怖いと思うのですが、何かが違いました。
その何かとは、ガラス戸を動かしているのは一年前に亡くなった祖母だったのです。
見えてはいませんが、何となく感じました。
祖母が亡くなってから私に伝えたい事があると必ず祖母がでてきます。
初めのうちは怖くて夜寝ることが出来ませんでした。
今は、馴れたわけではありませんが、今度はなんだろう?と考えていると祖父の声が聞こえてきました。
祖父も祖母と同じ年に亡くなっているのです。
祖父が祖母に「もうやめろ!」と言っていました。
不思議なもので亡くなった人の声がはっきりと聞こえるのです。
「もうやめろ!」と言った瞬間にガラス戸の音が止まりました。
金縛りもとけて明日の朝、実家に電話しようと思ってその夜は寝ました。
朝早くに母に電話をすると、昨晩、田舎町のお祭りで昼から外出していたと、
父はお酒を飲んで寝てしまい、送り火をしなかったそうです。
今日するからと母が言っていましたが、祖父母はもうあの世に帰ったよといいたかったです。
母は幽霊や亡くなった人がこの世に出てくるなんて全く信用しない人です。
話をしても無理だと思いその日のうちに実家へ帰りました。
実家に到着してすぐに仏壇にお線香を供え、「ごめんなさい」と謝りました。
来年はちゃんとしますね。
祖父母達が成仏出来るように願いたいものです。
祖父の「最期の言葉」
それは、私が小学四年生の冬の出来事でした。
当時、小学四年生の私は、母が仕事に出るため、夜は祖父母の家に預けられました。
自宅には父がいたのですが、私は父が苦手であったため、
大好きな祖父母の家に泊まるのが、毎週の楽しみでした。
ですが、その夜。
祖父の体調が悪く、「もうこれが最後かもしれない」と笑いながら祖父はそう言いました。
祖父が体調を崩すのは頻繁で、周りも何言ってるのと、冗談半分に返していました。
次第に体調が悪化して、様子を見て祖母が救急車を呼び、祖父は搬送されていきました。
祖母も付き添ってついて行き、私は祖父母の家に一人で留守番する事になりました。
その事を母に連絡すると、やはりいつもの事だから大丈夫。
また入院セットを持っていかないとね、と。
私も祖父が死ぬわけじゃないし、とそのまま、その夜は眠りにつきました。
次の日の朝、ある一本の電話で目が覚めました。
電話を取ると「○○○」と祖父が私の名前を呼びました。
そしてそのまま電話は切れてしまい、その一時間後に母から連絡があり
「じいじが死んじゃった」と。
祖父は搬送されてからずっと意識が朦朧としていて、傍には祖母がついていましたし、
祖父母は携帯を持っていませんでした。
何より、祖父は話せる状態ではありません。
あの日、あの時間の電話は、孫である私にさよならを告げたのではないかと信じています。
借金をしたり、ギャンブルで家計を困らせていた祖父ですが、私は祖父が大好きでした。
私が遊びに行った時はいつも、私の好きな葡萄を買ってくれました。
今でもずっと祖父を愛しています。