<初めに、きっかけ>
私は静岡県在住の主婦です。
今からご紹介するお話しは、私自身が実際に体験した数少ないエピソードです。
数年前、まだ独身だった私は当時お付き合いしていた男性を
家まで送りがてら夜のドライブをしていました。
静岡市に住んでいた私と、山を挟んだ先の藤枝市に住んでいた彼は
よく互いに車を出し合ってデートをしていて、その日は私が運転していました。
静岡から藤枝に行くには、二つあるバイバスのどちらかのトンネルを抜けるか、
大崩海岸という海沿いの険しい山道を通らないといけません。
彼を送ろうと海沿いを走っていて、その日はたまたまバイパスのトンネルを使わず、大崩海岸を通りました。
まだ20時頃と時間も早かった事と、大部分は新鮮な道を通ってみたいという軽い気持ちだったと思います。
<夜の道路で見た人>
静岡側から大崩の山道に入る前に海上に出来た橋の様な道が通っているのですが、
そこを通りながら助手席で話す彼の方を横目で見たら、その後ろの歩道にちらっと白い物が。
車が通り過ぎる一瞬でしたが、それは白か灰色の作業服を着た中〜高齢の男性でした。
その人物は歩道の手摺りから身を乗り出して海を覗き込んでいたのです。
昼ならまだしも、住宅街から離れた海上の道路に一人でしかも徒歩で来る人など居るでしょうか?
私は自殺かと思い「あの人何やってるの!」と叫んでしまいました。
しかし彼には何も見えなかった様で言ってるの?と不機嫌に。
それに何台か後続車もいましたが、どの車も慌てる様子無し。
結局無言になってしまい、峠を抜けてコンビニの駐車場に入るまで本当に怖かったです。
<後日そこを通ると>
あれから昼間に友人と同じ場所をドライブした時あの場所に差し掛かると、
ちょうど人が海を覗き込んでいた場所に花束が供えてありました。
ゾッとしてまた賑やかな道に出るまで黙り込んでしまったのを覚えています。