これは友達のS君から聞いた話です。
彼は今は引退しましたが、若い時は走り屋でスポーツカーを買い、
ガンガン改造し、県内、県外問わず山や峠でバトルをしていました。
今は奥さんと子供もいて引退しましたが、
そんな彼から秋になると思い出すことがあると飲んだ席で聞きました。
これは、20代の前半の時の秋の10月初旬にS君は県外に行きました。
今回は走り屋の仲間達と時間の都合が付かずに、一人で群馬の碓氷峠から始まりバトル。
関東方面で首都高も走ったりしていました。
彼は会社で夏休みをずらして休んでいたので余裕があり、東北も通り観光とバトルしながら過ごそうと考えました。
運転し、茨木県のつくば市に来ました。
走り屋の仲間から筑波山は走り屋さん達が集結し、夜な夜なバトルがあり、
道も攻略し甲斐があるなかなか歯ごたえのあるコースと聞きました。
S君はちょっと行ってみようという気分になり夜の21時頃筑波山に行きました。
すると数台轟音を立てて走ってました。
S君はギャラリーの人に声を掛けて参戦し、車を走らせました。
赤い車がハザードを点けて出発したので、S君はスタートしました。
筑波山の山道のカーブは結構あり、抜いたり抜かれたりの攻防を繰り返していました。
S君は赤い車に抜かれて、何とか勝ちたいと思いました。
カーブの路肩の所に木の切り株があり、そこにやせ細った女性が立ってました。
いきなり居たのでS君はちょっとブレーキを掛けてスピードダウンしました。
やせ細った女性は全身黒い服でスカート。
前髪が隠れていて身動きもせずに立っていたそうです。
S君はなんか不気味だなと思いました。
ですが、バトルの最中ですので頭を切り替えて再びアクセルを踏みました。
1週目が終わり、相手が再びハザード出してきたのでアタックを開始しました。
コースにも慣れ、今度は上手く赤い車を抜いたそうです。
抜いて差をつけて、再びさっき通過した木の切り株辺りに近づいてきました。
カーブ曲がると先ほどの痩せている女性が同じように突っ立ってました。
S君は何故か彼女を見たら、急激にハンドルを握る右肩から手の先が激痛と、氷のような冷たさを感じたそうです。
S君は痛みに耐えながら回りました。
後続の赤い車のライトが見えたのでスピードだし、カーブを曲がり進みました。
走り終えて、2周目は何とか勝利したS君でした。
その時は痛みは無くなったそうです。
広い駐車場に泊まると、赤い車の運転手が出てきました。
地元の人らしく、S君の運転を称賛したり、他のギャラリーの人も集まり話が弾み会話しました。
いろんな話をしている中でS君はギャラリーでカーブの切り株にいた女性の話をしました。
すると赤い車の運転手は
「えっ、カーブに女性居たの?俺見えなかったよ。」と言いました。
(えっ?!)とS君は戸惑いを隠せませんでした。
他のギャラリーも、
「スタート地点に今日はギャラリーで女の子は二人いたけど黒い服の子はいないよ。」と言いました。
S君は次第に青ざめてきました。
一人のギャラリーの人が、「君、見たかもしれないな。」と肩を叩いてきました。
その方曰く、筑波山のレースを夜していて、走っている人が血だらけの老人や子供等を見たことがあると言ってました。
肩を叩いてきたギャラリーの人は、彼女を助手席に乗せて筑波山を夜ドライブデートで走っていた時に、
彼女さんはカーブミラー付近に手を振っている高校生がいると言い振りました。
しかし、そのギャラリーの人からは見ましたがそんな高校生は見えないし映っていなかったそうです。
時たま霊が見えるという話もあったそうです。
今でも走り屋さん達のスポットになっているかどうかわかりませんが、
夜な夜な霊が出没しているのでしょうか?
S君はそのあと車の調子がおかしくなり地元に帰りました。
しかし、点検してもらっても異常なしとの診断でした。
そんな怖い話でした。