私は小さい頃から、多くの心霊体験をしてきました。
ですが本当にその姿を見たことはなく、声が聞こえたりラップ音がするくらいで怖いと思うことはありませんでした。
そんな私が心の底から恐怖を抱いた体験が今年に入って起きてしまったのです。
前々からその職場のとある場所が嫌だなぁと感じていたのですが、特に気にすることなく仕事をしていました。
そんなある日、いつも通りそこで頼まれた仕事をしていた時、後ろから「ふふっ」と笑い声が聞こえたのです。
最初は聞き間違いだろうと思い黙々と仕事を続けていたのですが、
また「ふふっ」と声が聞こえたのです。
周りを見渡してもお客さんもいない、子供がいるわけでもない、
可笑しいなぁと思ったその瞬間に目の前にある鏡が急に気になりました。
見てはいけない、とっさに思いました。
しかし、好奇心に負けてばっと顔を上げ鏡を見てしまったのです。
鏡に映る自分の顔……と足元に映る謎の白い手が私の足首を掴んでいました。
恐怖でその場から動けなくなった私はただその白い手をみつめることしかできませんでした。
一刻も早くこの場から立ち去りたいのに金縛りにあったように動けなくなり、
どうしようもなく泣きそうになった時、耳元で声が聞こえました。
その言葉を合図に固まった体が動き出し一目散に事務所へ走りました。
休憩に入っていた先輩の顔を見た途端私は腰が抜けてその場に崩れ落ちてしまいました。
先輩も驚いた顔で近寄って来てくれて背中をさすってくれたのですが、
やはり体の震えも止まらずその日は退勤して家に帰りました。
その日を最後に私が職場に行くことはありませんでした。
失礼ながら電話で辞めることを告げて荷物も送ってもらうようにお願いしました。
そんな出来事から2ヶ月が経ちますが未だにあの日を思い出して体の震えが止まらなくなります。
耳元で囁かれた声が消えないのです。
何度も何度もあの声が、あの言葉が。
あれは紛れもなく女の声でした。
忘れることのできない、女が発した言葉
「カナラズコロスカラナ」
あの女は私を殺そうと引きずりこもうとしているのでしょうか。
1人が寂しくて私にすがってきたのか、理由なんてわかりませんが。
とにかくこの出来事はやばいんじゃないかと思い、お祓いをしてもらうことになりました。
お祓いを受けるのは一週間後、はたして私はその時まで生きていられるのか、不安でいっぱいです。